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年齢によって色が変化する?芦毛の魅力と秘密を徹底解説!

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2023/5/23

芦毛の馬のイメージ

あなたの乗馬クラブに芦毛の馬はいませんか。

その芦毛の馬が産まれたときの写真があれば見てみてください。
今の毛色とは違い白や灰色ではないかもしれません。

芦毛は年を重ねるごとに、毛の色が変わっていきます。

この記事では、その仕組みを詳しくご紹介していきます。

この記事で分かること

・変化していく芦毛の毛の色
・芦毛が生まれるための遺伝子の優劣関係
・芦毛馬に発症しやすい『メラノーマ(悪性黒色腫)』
・芦毛の名馬

あなたの乗馬クラブにもきっといる?芦毛の馬

芦毛の馬のイメージ

芦毛は生まれたときの毛色から年を重ねるにつれ、徐々に白くなっていきます。

そのような話を聞くと「まるで人間の白髪みたい!」と親しみを感じますが、果たして仕組みも同じなのでしょうか。

毛が白くなっていく理由

人間の白髪が年齢を重ねた証であり、魅力であるように芦毛の白毛も美しく魅力的です。

芦毛が年齢と共に毛の色が白くなっていく理由は、幼い頃は色素を作る細胞が皮膚を黒くしてしまうほど異常増殖するのですが、早くにその細胞を使い切ってしまうからです。

つまり、歳を取るに従ってそのような細胞を使い切り、毛根でメラニンが作られなくなり白くなるのです。
そのため、白くなっていくのも個体差があります。

芦毛と白毛の違い

童話やアニメでお姫様を迎えに来る王子様は、白馬に乗ってきます。
また、白馬はパレードの先導や競馬場で誘導馬としても活躍しています。

歩いているだけで美しく、多くの人を引き付ける魅力がある白馬ですが、生まれつきの白馬(白毛)は少なく、歳をとって毛色が白くなる馬(芦毛)がほとんどです。

その芦毛と白毛の違いについて、詳しく説明します。

芦毛は毛の色が少しずつ白くなっていくため、競走馬の中ではグレーがかった馬、真っ白ではなく白っぽい馬として印象に残る馬もいます。

また白くなるのも個体差があり、色がまばらになる馬もいます。

皮膚はグレーです。
目の周りや口元などを見るとわかると思います。

一方、白毛は生まれたときから真っ白い毛で、白くなった芦毛に比べても毛の色はより白いです。
皮膚はピンク色をしていて、毛のうすい目の周りや口元をみるとわかります。

芦毛の馬はどのように産まれる?

二頭の馬のイメージ

芦毛の特徴として、他の毛色と違い両親のどちらかが芦毛でないと芦毛は誕生しないことが挙げられます。

遺伝子の優劣関係が毛色を決定しているのです。

人の血液型も同じ原理なので、分かりやすくこちらで説明します。

A型の遺伝子対:AA or AO
B型の遺伝子対:BB or BO
AB型の遺伝子対:AB
O型の遺伝子対:OO

父、母のそれぞれ遺伝子対のうち1つを子供に引き継ぎます。
父がA型(AO)、母がB型(BO)のとき、産まれる子供の血液型は下の4パターンです。

A(父)×B(母)=AB=AB型
A(父)×O(母)=AO=A型
O(父)×B(母)=BO=B型
O(父)×O(母)=OO=O型

これはA、Bの遺伝子がOの遺伝子に対して優性なので、O遺伝子を含むAOやBOの場合もO型ではなくA型、B型となるためです。

芦毛も同様に、芦毛遺伝子を含むと例外(白毛)を除いて必ず芦毛が生まれるということなんです!

なぜ例外として「白毛を除いて」になるのか。
それは白毛が唯一芦毛に勝つ優性遺伝だからです。

芦毛の馬の子供は必ず芦毛になるの?

芦毛が白毛以外の馬(鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、栗毛、栃栗毛)に対して優性であっても、芦毛の馬の子供が必ず芦毛になるということではありません。

血液型で説明したように、芦毛でもAAとAOのようなパターンがあります。

芦毛になる遺伝子をG、それ以外の毛色遺伝子をgとします。

芦毛の遺伝子対:GG or Gg
芦毛以外の遺伝子対:gg

例えば両親が芦毛同士の場合でも、ともに遺伝子対がGgであれば4分の1の確率で芦毛以外の子供が産まれるのです。

G(父)×G(母)=GG=芦毛
G(父)×g(母)=Gg=芦毛
g(父)×G(母)=Gg=芦毛
g(父)×g(母)=gg=芦毛以外

両親のどちらかがGGの遺伝子対の芦毛の場合、その子供は必ずG遺伝子を持つので、突然変異でもない限り必ず芦毛になります。

また逆に両親のどちらかが芦毛でないと芦毛が誕生しない理由もこれで説明がつきます。

G遺伝子を含む場合必ず芦毛になります。

つまり芦毛ではない馬は必ずggという遺伝子対となります。
芦毛ではない馬同士の交配では

gg(父)×gg(母)=gg=芦毛以外

という組み合わせしか誕生しませんので、両親のどちらかが芦毛遺伝子Gを持っていないと芦毛が誕生しないというわけです。

芦毛遺伝子Gは、魅力的な芦毛になるために、必要な遺伝子だということです。

奥が深い!馬の遺伝子と毛色の関係

二頭の馬のイメージ

ここまでの話で、Gという遺伝子を引き継がないと芦毛にはなれないという遺伝の法則を考えると、芦毛の馬はどんどん減っていってしまうのでは?と思うかも知れません。

そこで2015年末の有馬記念を最後に引退した、ゴールドシップという芦毛の血統表を参考にしながらみてみましょう。

父:ステイゴールド(黒鹿毛)
母:ポイントフラッグ(芦毛)

ステイゴールドの芦毛遺伝子対はgg。
ポイントフラッグの芦毛遺伝子対はポイントフラッグの母が黒鹿毛なのでGg。

ということはゴールドシップの遺伝子対はGgということになります。

そのためゴールドシップの子世代からは芦毛以外の馬もたくさん登場することが考えられます。

そしてゴールドシップにとって孫世代になると芦毛以外の馬の割合が増え、芦毛の確率が減っていきます。

このように一頭の個体で考えると芦毛は減っていくように感じますが、芦毛同士で交配することもありますし、現在は「絶滅の危機」というほどの危機感はないようです。

なお、馬の毛色を決める遺伝子は芦毛だけでなく、その他に鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、栗毛、栃栗毛を決定するための遺伝子も別で存在します。

でも、まだ解明されていないこともあります。
競走馬等はテレビやインターネットで画像を見られるので、血統表でその祖先の毛色から毛色遺伝子を辿ってみるのもおもしろそうですね。

芦毛馬に発症しやすい『メラノーマ(悪性黒色腫)』とは?

メラノーマ(悪性黒色腫)をご存知ですか。

これは「皮膚がん」で、馬の中でも芦毛が他の毛色に比べて高い発生頻度を示す、色素産生細胞(メラノサイト)が「がん化」する病気です。

芦毛は鹿毛や栗毛の原毛色から年齢に従って色が抜けていって灰色、白へと変化します。

芦毛遺伝子の直接の働きは、毛根部でメラノサイトの分裂速度を他の毛色よりも数段速く、しかし細胞分裂は無尽蔵に繰り返すことができないため、芦毛は早期に色素細胞が枯渇して白くなります。

分裂速度が速いということは、それだけDNAのコピーにおいて“エラー”が生じやすくなるのは想像できると思います。

そこでもし、運悪くがん化のスイッチを押すエラーが生じるとがん細胞が発生してしまうことから、芦毛の白い毛は、メラノーマのリスクが高いといわれています。

メラノーマは、何年も大きさが変わらずに存在し、馬に何の問題もないこともあります。

しかし、一旦大きくなり始めると、馬にとって重大な問題となります。

早期発見のためにも、日々の観察は大切です。

たくさんの人に愛される、芦毛の名馬たちをご紹介

芦毛の馬のイメージ

オグリキャップ、メジロマックイーン、ビワハヤヒデといった馬の名前を聞いたことはありますか?

これらの馬は多くの人に愛された、魅力的な芦毛の名馬たちです。

オグリキャップは、4つのG1レースを優勝するなど、記憶と記録に残る活躍で昭和末期から平成にかけての競馬界を席巻しました。
1990年中山競馬場で施行された有馬記念がラストランで優勝を果たしました。

メジロマックイーンは、祖父がメジロアサマ、父がメジロティターンで祖父父仔による三代連続天皇賞制覇を達成した家系の馬です。
実力もGI級競走を4勝するなど充分で、日本競馬で史上初めて獲得総賞金10億円に到達した馬ともいわれています。

ビワハヤヒデは、1992年に中山競馬場でデビューし、早い時期から頭角を現していました。
ナリタタイシン、ウイニングチケットとライバル関係を築き、異父弟にはナリタブライアンがいます。
兄弟対決の期待もあった中、故障し引退しました。

代表的な芦毛の名馬を3頭紹介しましたが、引退した後も存在感が大きく、魅力的で記憶に残る馬たちです。

まとめ

生まれたときは鹿毛や栗毛、青毛など色がついているのに、次第に白い馬になっていく芦毛。
それだけでも不思議で魅力的な馬です。

そんな芦毛が生まれるためには、まず芦毛になるための優性遺伝が必要になります。

そして生まれた頃はその遺伝により色素が作られますが、色素細胞が枯渇することにより、毛の色が白くなっていきます。

人の記憶に残る名馬が多い芦毛の馬たちですが、メラノーマという皮膚がんのリスクが他の馬たちに比べて高くなっています。

早期に発見できるよう、日々の観察も大切です。

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