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馬の汗が白い理由は細かい「泡」!優れた馬の体温調節能力の秘密とは

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2023/2/17

水を浴びる馬のイメージ

馬の身体に光る白い汗。見たことがある人もいることでしょう。

でも、なぜ汗が白いの?その理由は馬の特殊能力による泡が関係しています。

 

今回は馬の白い汗についてお届けします。

 

 

馬はたくさん汗をかく動物

 

人間は暑かったり、運動をすると全身から汗をかきます。

汗の量は人それぞれで、汗っかきの人はこまめに水分を補給したり、頻繁に着替えたりしますよね。

 

馬も全身からたくさん汗をかく動物で、人間並みに汗をかくといわれています。

 

 

馬と人間の『汗腺』の違い

 

汗っかき仲間の馬と人間。

 

人間だと気温に比例して汗をかきますが、馬は運動して上がった体温を下げるために汗をかきます。この違い、何が関係しているのかというと、汗腺の特徴が違うのです。

 

ここからわかりやすく解説します。

人間はエクリン腺という汗腺から汗を出しますが馬はアポクリン腺という汗腺で汗を出します。

 

エクリン腺は体温が上がっていることに対して反応し、それを抑えるために汗を出そうとします。

このため人間は暑い日や運動したとき、また病気で熱を出しているときに汗をかきます。

 

一方、アポクリン腺は運動や、緊張、精神的に興奮したときに反応して汗を出そうとします。

そのため、馬は運動をしていない状態だと汗をかきづらいのです。

 

馬が夏に弱いのは汗のメカニズムにも影響されているのだろうと考えられます。

 

また、アポクリン腺は本来、水分をほとんど出さずにフェロモンを出す器官なんです。

ところが馬の特殊能力として、水分を出さないアポクリン腺から汗をかくことができるのです!

 

これができることで、馬は体温調節の能力が他の哺乳類に比べても格段に優れているのです。

 

 

馬は運動すると全身から汗をかくことができる

汗をふく女性のイメージ

私たち人間は当たり前のように全身から汗をかき、馬も全身から汗をかいているため、全身から汗をかくことが当然のように思うかもしれません。

 

しかし、ペットとして人間と関わりが深い犬や猫が全身汗で濡れていることはないですよね?

 

「え?動物はみな、全身から汗をかかないの?」

そんな疑問が聞こえてきそうですが、哺乳類の中で全身から汗がかけるのは馬・牛・カバだけの限られた動物だけなのです。

 

ちなみに犬や猫は、全身はアポクリン腺ですが、手足の裏にはエクリン腺を持ちます。

そのため暑い日や極度の緊張状態にあるときには、足の裏の肉球からは僅かに汗が出るようです。

 

 

馬の汗はなぜ白いの?

 

人間は白い汗をかくことはありませんが、馬はビックリするほど白い汗をかきます。

競馬のパドックではとりわけ多く見られるのではないでしょうか。

 

しかし厳密にいうと、馬は身体から白い汗を出しているというわけではありません。

汗をかいた後、体の表面上で白くなるのです。そのとき馬の身体では何がおきているのでしょう。

 

実は、白くなって見えるのは細かい「泡」なんです。

人間的に考えると、「身体から泡の成分が出るなんて大丈夫なの?」と心配になると思いますが、これが馬の特殊能力の2つ目です。

 

馬の汗にはラセリンという成分が含まれています。

この成分は界面活性作用、つまり石鹸などと同じような働きをします。

 

石鹸を水に濡らし擦ると泡立ちますが、それと同じような現象が馬の体表で起こっているため、馬の身体に泡が表れるのです。

 

 

界面活性作用があるメリット

泡のイメージ

特殊能力って言われても泡立つだけ?と思われたかもしれませんが、まだ続きがあります。

 

このラセリンという成分は界面活性作用があるといったとおり、石鹸と同じように水と油が混じりあうようにする性質があります。

 

そのため汗(水)は毛のすきま(人と同じく毛や皮膚には油分があります)を通って全身に広がりやすくなるのです!

つまり、全身から汗がかけるということは体から熱を放出できる面積が増えるので、より早く体温調節が可能になっているのです。

 

そして、この優れた体温調節の能力があるからこそ長時間速いスピードで走ることができるのです。

すごいでしょ?!馬の特殊能力!

 

 

汗から知る、馬の体調

 

馬と普段から触れ合っていれば、馬の様子や食欲などからその日の体調がわかりますよね。

 

しかし、競馬を楽しむ人にはそのような情報がわかりません。

よくパドックでみせる毛並みや動き方が勝ち負けを予想する判断材料になるといわれます。

しかし、特に夏は「汗」に注目する人も少なくないようです。

 

その大きな理由として、馬は暑さに弱い動物ということが挙げられます。

 

汗をかいていないと、熱が身体に溜まってしまい熱中症になる可能性が高くなります。

 

もしレース中に熱中症になれば倒れて動けなくなることや怪我につながることもありますし、倒れないまでも本来の力を出すこともできません。

 

また、泡状の白い汗を大量にかいているのも心配です。

 

馬にある汗腺、アポクリン腺は運動や、緊張、精神的に興奮したときに反応して汗を出すため、大量に汗をかいているときは、緊張していたり、ストレスを感じており、精神的に万全な状態ではないと考えられます。

 

このように馬の発汗状態を観察することで、馬の体調をみることができます。

 

 

まとめ

馬の耳のイメージ

同じ哺乳類として、同じような仕組みで同じように汗をかくと思っていても、動物によって違いがあることがわかったかと思います。

 

馬と人間では汗腺の特徴が違うこと、馬の汗にはラセリンという成分が含まれており、それにより白い汗が表れることにも驚いたのではないでしょうか。

 

これらの違いは馬が生き抜くために進化した結果、得られた特殊能力になります。

 

また私たち人間は馬の汗で馬の体調を知ることができます。

馬のよき理解者になれるように、馬を観察してみましょう。

 

 

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