乗馬ブーツの選び方
乗馬をする上で重要な役割を持つ乗馬ブーツ。
この記事では乗馬ブーツの種類とサイズ選びとフィッテングの重要性、安全性について解説していきます!
この記事で分かること
・乗馬ブーツの種類と違いがわかる
・自分にあった乗馬ブーツの選び方がわかる
乗馬ブーツについて
乗馬用ブーツは以下のような特徴があります。
足にフィットした形状
足を保護する役割があり、鞍(くら)や鐙(あぶみ)を吊るしている鐙革(あぶみがわ)と擦れないように膝下までの長さのある、足にフィットした形状になっています。
足を動かしやすい構造
騎乗中は足で合図を出すので足首や膝が動かせる状態でなければなりません。
鐙に足が入り込まないためのヒール
鐙に足が入り込んでしまうと、落馬しても足が鐙に引っかかったまま引きずられてしまう可能性があります。
機能性だけでなく安全性においても乗馬ブーツは必要です。
乗馬用ブーツの種類と違いについて
乗馬用ブーツには膝下までのロングブーツとくるぶしあたりまでのショートブーツの2種類があります。
ショートブーツの場合、足首から膝下までを覆うチャップスも必要になります。
ショートブーツとチャップスで足とふくらはぎのサイズに合わせて別々に購入できるのでピッタリのサイズが探しやすく、ロングブーツと比べて扱いやすいため乗馬を始めたばかりの方におすすめです。
ロングブーツ
乗馬用のロングブーツは長靴(ちょうか)、チョーカー、ジョッキーブーツ、そしてラバー製のものはエクイアとも呼ばれます。
革のロングブーツは革長靴(かわちょうか)を略して「革長(かわちょう)」、対してラバー製のロングブーツは「ゴム長(ゴムちょう)」と呼ばれることもあります。
見た目がスタイリッシュで、つま先からヒザ下まで一体型で覆っているので特に雨の日は泥などが入りにくく快適です。
足首が固定されるので馬への合図を出しやすく鐙の上で踏ん張りやすい反面、慣れるまでは歩きにくく脱ぎ履きが少し面倒です。
※ブーツジャックがあると脱ぎやすくなります。
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ショートブーツ+チャップス
乗馬用のショートブーツはジョッパーズブーツ、パドックブーツ、チョッパーブーツとも呼ばれます。
チャップスとはキュロットの上から着用し、足首から膝下までを覆うものです。
見た目がロングブーツのような形状のチャップスはゲートルとも呼ばれます。
チャップスのストラップをショートブーツのつま先側から靴底に引っかけてファスナーやマジックテープで固定します。
足首が自由に動かせて脱ぎ履きもしやすく、またチャップスは伸縮性があるので足の形にピッタリとフィットしやすいです。
またスエード生地のチャップスは滑り止めの効果があり、姿勢を安定させやすくなります。
チャップスはコンパクトに収納できるので、ショートブーツを履いて乗馬クラブまで行けば荷物も少なくてすみます。
なお、ショートブーツとチャップスは同じ色に揃えることが多いです。
本革製・合皮製・ラバー製の違い
乗馬ブーツの素材には本革・合皮・ラバーがあります。
好みにもよりますが、素材によってのおすすめの選び方は
- ・馬への合図が最も出しやすく長く履き続けたい→本革
- ・本革に近い履き心地で本革よりも価格が安くてメンテナンスも簡単にできるもの→合皮
- ・価格が安く、メンテナンスも簡単で雨の日や馬の手入れの時にも使用したい→ラバー
になります。
乗馬を始めたばかりの方は扱いやすさと履き心地を重視した合皮タイプがおすすめです。
本革
丈夫できちんとメンテナンスを行えば長く履き続けることが出来ます。
また履き続けることで足の形に合わせて革が伸びていくので、足の形にピッタリとフィットするようになり、馬への合図もしやすくなります。
合皮
見た目が革のような素材で出来ており、本革ブーツに近い形状なので合図もしやすいうえに価格も比較的安めですが、素材の特性上、徐々に劣化していくので本革より耐久面では劣ります。
ラバー
非常に丈夫で長持ちします。
防水素材ですので雨の日の騎乗に向いており、また外面を水洗い出来るのでメンテナンスも簡単です。
ラバー製のロングブーツ(エクイア)は足にピッタリとフィットさせることは難しく、騎乗で重要な足首周りに余裕が出来やすいので、乗りやすさは劣ります。
安全靴タイプ
乗馬では足を馬に踏まれることによるケガが比較的多いです。
このような事故を防ぐため、つま先に金属製のカバーを内蔵した安全靴タイプのブーツもあります。
拍車台、拍車止めについて
一部の乗馬ブーツにはかかとの少し上に拍車台や拍車止めと呼ばれる突起が付いています。
突起の上に拍車を装着することで拍車がずれにくくなりますが、少し高い位置で固定されるので拍車が強く当たってしまう方や高さが気になる方は拍車台の下に装着するか拍車台のないブーツをおすすめします。
サイズについて
乗馬ブーツはサイズ選びが難しい乗馬用品です。
サイズの合っていないブーツでは擦れて痛みが出てしまい足が思うように動かせず、馬に乗りにくくなってしまいます。
ショートブーツとチャップスの場合は足とふくらはぎで別々にサイズを合わせられるので選ぶのは比較的簡単です。
しかしロングブーツは足とふくらはぎのサイズが合っても筒丈が合わないことが多いです。
足の甲の高さにもよりますが、筒丈が長くて合わない時は中敷きやインソールで調整できることもあります。
さらにサイズ選びは素材によっても異なります。
本革は足になじんで伸びるのでぴったりかふくらはぎあたりが少しきついぐらいのサイズをお選びください。
合皮やラバーは伸びませんのでぴったりよりも少し大きめのサイズがおすすめです。
サイズ選びの際には
- ・膝を軽く曲げてロングブーツやチャップスが当たっても膝の裏に痛みはないか
- ・足首を曲げて足首の前にしわが寄っても痛くはないか
を確認しましょう。
馬に乗っているときは膝と足首を曲げたままの姿勢が多く、バランスを取るためにも足元の姿勢が重要です。
膝を曲げずに足が前に流れてしまうとお尻だけでバランスを取ることとなり馬の背中任せになるので馬の揺れについていけなくなります。
そうならないためにも足の位置は横から見た時に自分の頭や肩の真下にかかとがある状態が良いとされています。
そしてかかとを下げることで重心が低くなり、よりバランスが取りやすくなります。
ブーツの試着をする時は馬に跨っている時と同じように足を開いた状態で軽くスクワットをしても膝の裏と足首に痛みがなければ大丈夫です。
短すぎると鞍と擦れて足の内側に痛みが出てしまうので膝の裏に痛みや違和感がなければなるべく膝下に近いものを選びましょう。
ブーツの試着をする時は乗馬の時に履くズボンと靴下を着用し、足がむくみやすい午後にすると実際に使用する時も安心です。
カラーについて
基本的にブラックやブラウンが主流です。
ロングブーツは履き口に装飾を施されているものや異なる素材を使用しているものもあります。
ショートブーツとチャップスは同じ色に揃えることが多いです。
馬術大会の規程について
正式な大会ではブラックの本革製のロングブーツ着用を規定していることが多いので注意してください。
また馬場馬術の場合は靴紐が付いているタイプもNGの場合があります。
※大会によって規定は異なりますので、大会の運営事務局へご確認願います。
ブーツケアについて
砂や水、馬の汗などで汚れやすいブーツは素材に合ったケアをすることでより長く使用できます。
特に本革は汚れや乾燥が原因でひび割れてしまうため、長く使用する為にも汚れを落としてから保湿や保護用のクリームを塗る必要があります。
合皮やラバーは比較的ケアが簡単なので初心者の方にはおすすめです。
ブーツ用アクセサリー
下記のようなブーツ用アクセサリーがあるとより便利です。
ブーツキーパー
ブーツの型崩れを防ぎます。
特にロングブーツは型崩れしやすいので、保管時にはブーツキーパーを入れることをお勧めします。
ブーツジャック
ブーツを脱ぐ時にあると便利です。
U字部分にかかとを入れ、反対の足でブーツジャックを踏んで抑えてから足を引き上げることで簡単にブーツが脱げます。
乗馬ブーツのおすすめの選び方と注意するポイント
乗馬を始めたばかりやどのくらい続けられるか分からない方は比較的安価かつ履きやすい合皮ショートブーツ+チャップスがおすすめです。
持ち運びもしやすくメンテナンスも簡単で、もし本革ブーツに買い替えた後の雨の日用としても活躍できます。
馬術大会やライセンスを目指している方は本革のロングブーツがおすすめです。
大会や本番で良いパフォーマンスをするためにも普段のレッスンから同じブーツを履いておくと足に馴染んで動かしやすくなっていきます。
乗馬ブーツ選びの注意するポイント
・サイズは合っているか
・足首や膝を動かしたときに痛みがないか
・馬術大会で使用する場合、規定に準じたものか