乗馬ライセンス4級・3級について
乗馬ライセンスとは、公益社団法人全国乗馬倶楽部振興協会が定めた全国統一の認定にもとづき乗馬の技術を認定するもので、乗馬技能認定審査とも呼ばれています。
この記事では、乗馬ライセンス4級と3級の試験内容と難易度、対策のポイント、取得に必要な期間や費用を解説していきます。
この記事で分かること
・乗馬ライセンス4級・3級の内容
・試験内容と対策のポイント
・乗馬ライセンス取得のための期間と費用
乗馬ライセンス(乗馬技能認定審査)4級・3級の内容とレベル
乗馬ライセンスの正式名称は乗馬技能認定審査で、5級からはじまり最後には馬場1級・障害1級・エンデュランス1級と枝分かれしていきます。
試験の内容は実技試験と筆記試験があり、乗馬の練習だけでなく勉強も必要です。
乗馬ライセンス4級・3級は、乗馬を始めたばかりの初心者でも取得しやすい5級に比べて、難易度は上がります。
取得する頃にはできることも増えて、自信にもつながり、楽しみも増えているでしょう。
乗馬ライセンス 4級・3級を取得するメリット
乗馬の目的は、馬と触れ合いたい、楽しみたい、健康のため等人それぞれですが、ライセンスの取得を乗馬の目標に入れることをおすすめします。
ここからライセンス取得のメリットについて解説します。
乗馬ライセンス4級のメリット
4級を取得することにより、客観的に乗馬の技術を証明することができます。
例えば、観光地等でホーストレッキング・外乗を体験する場合、4級を取得していることを伝えれば何がどれくらいできるのかを、相手に的確に伝えることができます。
そうすることにより、より本格的なコースを体験することもできます。
また4級といえば駈歩ができるため、ホーストレッキングで駈歩に挑戦する可能性も出てきます。
乗馬ライセンス3級のメリット
3級を取得すると、乗馬は趣味から特技といってもいいレベルになってきます。
そこまでくると自信にもつながり、履歴書にも書けるレベルです。
日本ではまだ乗馬人口は少ないため、履歴書に書くことで面接の会話の糸口になることもあります。
また簡単に取得できるライセンスではないため、そこまでの経験や学びをアピールすることで面接官の記憶に残ることも期待できます。
そして何よりのメリットは、3級を取得することで今後「馬場2級」「障害3級」「エンデュランス3級」の受験をすることができるということです。
つまり、3級までは飛び級ができていたところ、それ以上になると飛び級ができなくなります。
3級を取得するとすべての分野のライセンスに挑戦することも可能ですし、何か特化した道を極めていくことも可能になります。
乗馬ライセンス 4級・3級の試験の難易度
5級より4級、4級より3級と難易度は高くなり、練習量が増えたり、上手くできずに技術的にも精神的にも躓くことがあるかもしれません。
しかし4級も3級もインストラクターの指導を受け、練習を重ねると取得できる級です。
試験内容と試験対策のポイント
一般的な受験勉強やテストでもそうであるように試験前は試験内容を知り、準備をすることが大切です。
ここでは4級・3級の実技試験、筆記試験の内容とその対策のポイントを解説します。
4級の試験内容とポイント
4級の試験では、これまでの基礎の確認の他に駈歩の発進・維持等、より高度な技術が求められます。
日ごろの練習からしっかり基礎を作ることが大切です。
実技試験の内容
4級実技試験では、複数人で審査員の指示に従い一緒に動く部班運動にて審査されます。
具体的には常歩で巻き乗り、半巻きを含む回転運動、速歩で90°の方向変換及び斜め手前変換、停止ー常歩ー速歩ー常歩ー停止が概ねスムーズにできるか、軽速歩の手前が理解できるか、速歩運動にて正しい姿勢がとれるか、手綱・脚の操作が概ねでき駈歩の発進・維持ができるかを審査されます。
実技試験のポイント
駈歩は常歩や速歩に比べて揺れが大きく、スピードも速いためコントロールが難しくなります。
また同じ駈歩でも馬によって反応が違ったり、揺れの大きさが変わったりします。
どんな馬でも駈歩の発進と維持ができるように経験を積んでおくことも大切ですが、コツをつかむまでは同じ馬で練習することもおすすめです。
筆記試験の内容とポイント
4級筆記試験では、馬の毛色、馬体の名称、馬具の名称、初歩の号令、馬の動き方等が出題されます。
新しく覚えることが多く読みにくいものもありますが、暗記が多く満点を狙えない問題ではありません。
テキストをしっかり使い、満点を狙ってみると勉強のモチベーションもあがるのではないでしょうか。
3級の試験内容とポイント
3級の試験では、これまでの基礎の確認と高度な技術が審査されます。
また乗馬クラブによって違いはありますが、3級から服装の指定があるところもあります。
そのため、余計に緊張することも考えられます。しっかり準備をして挑みましょう。
実技試験の内容
3級実技試験では下記の内容で審査されます。
- ・5級や4級の運動を含め、駈歩の発進、維持ができるか
- ・歩度の伸縮が概ねでき、巻き乗り、半巻きができるか
- ・駈歩の手前が理解でき、常歩、速歩を入れて手前の変換ができるか
- ・扶助操作の適否
- ・地上横木の通過
また、下記の内容では失権になってしまいますので注意して臨みましょう。
- ・落馬
- ・3回目の経路違反
- ・馬場埒から四肢が出た場合
実技試験のポイント
試験中、一貫して大切なことはペースをコントロールすることです。
ペースが遅くなったり早くなったりすると思うように経路が回れなくなったり、駈歩の維持が難しくなるため、ペースを一定にすることは大切です。
また馬場で速歩や駈歩をしながらの図形運動も審査されます。
そのため馬場に関する用語、地点を理解することは必須です。
理解していないと指示通り動けなかったり、動こうとしても反応が遅くなり動きも遅れてしまいます。
また、もし試験中にミスをしてしまった場合は、気持ちを切り替えることも大切です。
ミスをしてしまうとどうしても焦ったり落ち込んだりしてしまいますが、そのような気持ちでは次のミスが起きてしまうこともあります。
ミスをしてしまったら、次はどこでプラスのアピールをしようか、等と先を考えてみるのもおすすめです。そうすると落ち込んでいる暇はありません。
会場によっては慣れない服装を求められ、余計に緊張するかもしれません。
まずは試験開始の入場から、人も馬も元気にスタートすることを心がけましょう。
なお、令和4年4月1日より経路が新しくなりましたので、事前に経路を確認しておくことも重要です。
筆記試験の内容とポイント
3級筆記試験では、5級・4級の項目に加え、蹄の名称及び馬場運動の図形等、鞍の部位の名称、蹄の名称、運動の名称、手入れ道具について、回転について、馬の動き方について等が出題されます。
内容がより細部まで問われるようになり、新しく覚えることも多くなります。
しかし出題範囲が決められており、暗記部分が多くなっています。
テキストや過去問を使い少しずつでもしっかり理解することがポイントです。
乗馬ライセンス 4級・3級取得のために必要な期間と費用
ライセンス取得の方法としては、短期の体験コースで取得する方法と乗馬クラブに入会し継続的にレッスンを受けて取得する方法があります。
ここからは気になるライセンス取得のために必要な期間と費用について解説します。
短期の体験コースで資格取得する方法
乗馬クラブの中には、入会せずに短期でライセンスを取得するためのコースを設けているところがあります。
乗馬クラブによって期間や費用の違いはありますが、たいてい4級の場合は8日間から12日間のコースになっていることが多いです。
費用は受講料・教材費・日数分の馬術用具レンタル代・認定試験料・申請手数料・諸経費で15万円~20万円ほどになりますが、乗馬クラブによっては5級のライセンスをその乗馬クラブで取得していた場合に割引がある等特典が用意されているところもあります。
また、乗馬が盛んな地域では2泊くらいからの宿泊を伴う合宿形式のコースもあります。
合宿の場合は集中して練習ができ、また長期休暇等を利用して取得することができるためおすすめです。
しかし3級になるとこのような体験コースを設けている乗馬クラブはほとんどありません。
乗馬クラブに入会して資格取得する方法
乗馬クラブに入会して資格を取得する場合は、入会費・年会費または月会費・1鞍ごとの騎乗料・指導料が必要になります。
この場合、総額でいくら必要なのか気になりますよね。
ここからは気になる金額の目安を説明します。
入会費は地域や乗馬クラブによって違いがあり、数万円のところから数十万円かかるところもあります。
年会費または月会費も乗馬クラブによって異なりますが、比較しやすいように月に換算するとたいてい1万円から2万円程度のところが多いです。
騎乗料・指導料は数千円のところがほとんどですが、ライセンス4級取得まで40~100鞍、3級までは100~200鞍が目安と言われています。
また、継続的に乗馬クラブに通っていると、ブーツやヘルメット、グローブや乗馬キュロット等を買い揃えていくようになり、そのような費用もかかってきます。
乗馬ライセンスの有効期限・更新は?
乗馬ライセンスは他の認定試験と同様に、有効期限や更新はありません。一度取得すれば、ずっと持ち続けられる試験です。
まとめとポイント
・乗馬ライセンス4級を取得することにより、客観的に乗馬の技術を証明できる
・3級を取得するとすべての分野のライセンスに挑戦することも可能
・4級を体験コースで取得する場合、費用は15万円~20万円ほど。3級はほとんどのクラブで入会が必要
※各種ライセンスや騎乗者資格に関する情報は2023年1月時点で確認した内容となります。改定されることもありますので詳しくは運営事務局へお問い合わせください。