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馬は、人間社会のなかで、多種多様な役割を担わされてきた。太古には狩猟の対象になり、やがて車を引き、人を乗せ、人間の世界に深く入りこんだ。人が馬を乗りこなさなかったら、歴史はもっと緩やかに流れていただろう。戦争、交易、世界帝国…、馬から歴史を捉え直す。JRA賞馬事文化賞受賞作。・著者 本村 凌二・サイズ A6版・出版社 中央公論新社・ページ数 307ページ・出版日 2013年11月【内容】プロローグ――もし馬がいなかったら、二一世紀はまだ古代だった1章 人類の友 人間に飼い慣らされる動物の条件とは/馬は人間に飼い慣らされるべく進化してきた?/ 野生の馬はなぜ衰退したか/シマウマを飼った男/家畜化の始まり2章 馬と文明世界――戦車の誕生 最初に馬に乗った人間はなにを思ったか/馬に荷車を引かせる/「山のロバ」を「砂漠のロバ」/ 戦車の誕生/戦車武人の登場/「速度」という観念が変えたもの/東アジアの戦車3章 ユーラシアの騎馬遊牧民と世界帝国 Ⅰ 西方ユーラシア 騎乗の普及/古代人はどのように馬に乗っていたか/最古の騎馬/遊牧民キンメリア人/ ヘロドトスの描いたスキタイ人/スキタイ系文化はどこから来たのか/アッシリア帝国と騎馬軍団/ アッシリア馬とエジプト馬/ペルシア帝国/スキタイ北伐作戦の失敗/「王の道」 Ⅱ 東方ユーラシア 東方の騎馬遊牧民/殷と周の対決/戦車から騎兵へ/秦の由来/司馬遷の描いた騎馬遊牧民/ 騎馬遊牧民と世界帝国のダイナミズム/汗血馬の伝説4章 ポセイドンの変身――古代地中世界の近代性 ギリシアで戦車は用いられたか/オリンピックの花形、戦車競走/なぜ「馬の神」は「海の神」となったか/ ギリシア人と騎馬/アレクサンドロスの愛馬/ローマ軍と騎兵隊/「パンとサーカス」の世界/ 競走馬の育成/古代地中海世界の近代性とはなにか/馬と海と「海域世界」 <補論>馬なき古代文明――アメリカ5章 馬駆ける中央ユーラシア ゲルマン民族大移動フン族の脅威/ローマ帝国の解体/フン族とはどんな人々か/四つの自然区分/ 「オアシスの道」シルクロード/騎馬遊牧民の馬/夷狄は蛮族か?/突厥の大遊牧帝国6章 アラブ馬とイスラム世界 アラブ馬成立の謎/ベドウィンがもたらした馬/馬は「至上の祝福」/アラビア半島はなぜ名馬を生んだか/ 十字軍の重馬/軽装のトルコ騎兵7章 ヨーロッパ中世世界と馬 ビザンツ帝国の戦車競走/イスラム侵攻と騎士団の出現/騎士の理想の馬/英雄エル・シッドの馬バエビカ/ 十字軍が伝えたオリエントの馬/軍用馬を育てる/農耕馬の登場8章 モンゴル帝国とユーラシアの動揺 遊牧国家ウイグル/広がる遊牧国家のシステム/キンギス・ハンとモンゴル帝国/高度に組織化された編隊/ 「タタールの平和」/マルコ・ポーロのみたモンゴルの馬/モンゴルが「世界史」をもたらした/ モンゴルを離れて/「南船北馬」/朝鮮半島と日本の馬9章 火砲と海の時代――近代世界における馬 ルネッサンスと獣医学への関心/馬術と馬産/アメリカ新大陸にわたった馬/馬の与えた衝撃/ ヨーロッパの軍事革命の波間で/馬車の時代/小説が描いた馬車の旅10章 馬とスポーツ 狐狩りから障害競走へ/馬産への情熱/サラブレッドの誕生/近代競馬の成立/世界最強馬の追求エピローグ――われわれは歴史の負債を返済しただろうかあとがき参考文献図版出典・所蔵機関一覧文庫化によせて
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