マツさんの家にかわいい子馬がやってきました。
栗色の毛の子馬です。
目と目の間から鼻すじ、口まで真っ白、右の後ろ足も真っ白。
その姿がかわいくて、家族はかわるがわる馬小屋をのぞいていました。
ところがある日、マツさんの家に１通の手紙が届きます。
その手紙は――。
きずついたのは人間だけじゃない。
あの日、やさしい目にいっぱいの涙をうかべたこの馬は、何を見ていたのでしょう。
手記『遠い嘶き 軍馬勝山号回想記』（伊藤貢著）、『聖戦第一の殊勲馬勝山号』（小池政雄著）をはじめとする資料をもとに書き起こした、子どもたちに伝えたい戦争の話。

もくじ
　一、やってきた子馬
　二、変えられた名前
　三、戦場へ
　四、もう助からない
　五、日本への帰還
　六、きせきの脱出
　七、夜空のいななき
　あとがき

著者略歴

いしいゆみ
『無人島で、よりよい生活!』で第24回福島正実記念SF童話賞の大賞受賞。
2007年に岩崎書店から刊行。
日本児童文学者協会会員。創作集団プロミネンス会員。
著書に、「君たちには話そう」などがある。

大庭賢哉絵（おおば・けんや）
イラストレーター、漫画家。
作品に「トマとエマのとどけもの」「トマとエマのめいろの国」「トモネン」『屋根裏の小さな部屋』などがあるほか、装画を手掛けた主な作品に「シノダ!」シリーズ、「ナースコール!」シリーズ、『トンネルの森1945」など多数。

・著者　いしい ゆみ
・イラスト　大庭 賢哉
・サイズ　四六判
・ページ数　80ページ
・出版社　静山社