馬の気持ちを理解しよう!甘えたいときの仕草って?ハムハムや前掻きの意味とは
馬をはじめ、動物は人間と言葉を使ってコミュニケーションを取ることができません。
しかし、犬や猫などペットとして飼われている動物は、表情や仕草などを通じてコミュニケーションをとり、家族として過ごします。
馬も行動・表情・仕草などから感情を表現しています。
今回は「馬が甘えたいとき」の仕草について解説!他にも代表的な馬の仕草をご紹介します。
馬の仕草から気持ちへの理解を深め、より仲良しを目指しましょう!
馬の表情や仕草を観察して、馬の感情を理解しよう
私たち人間は、喜怒哀楽などの感情をもったとき、言葉で伝えたり表現することがあります。
しかし、相手や周りの状況を考えてあえて言葉には出さず、その感情を隠すこともありますよね。
ところが一生懸命隠しているつもりでも表情や仕草に表れることがあります。
馬も同じです。
言葉で感情を表現できなくても、表情や仕草で感情を表しており、人間は馬を観察したり、知識を得ることで、馬の感情を理解してあげることができます。
馬の感情を知ることで、馬への理解が深まり、馬との信頼関係がより強まって仲良くなれますよ。
馬が甘えたいときにする仕草とは
感情には代表的なものに喜怒哀楽があります。
しかし、その他にも恥ずかしい・悔しい・怖い・甘えたいなどさまざまな感情があります。
人間はそのような感情について、誰かに聞いてもらって共感してもらったり、励まされたりして心を落ち着かせます。
しかし、なかには恥ずかしくて言えないという人もいます。
特に「甘える」ことについては、感情表現が苦手な人も多いと思います。
それでは動物はどうでしょう。
ペットなどは体を摺り寄せてきたり、タッチしてきたりして、その甘えてくる様子は可愛らしく癒されます。
忙しい時間でもついつい甘やかしたくなりますよね。
馬が甘えてきたときも、その気持ちに応えてあげたいと思いませんか。
ここからは、言葉が通じない馬の「甘える仕草」について紹介します。
頭や鼻を摺り寄せてくる
馬は頭がいい動物です。
ペットのように毎日一緒にいなくても、普段お世話をしてくれる人、信頼できる人を覚えています。
そんな馬が目を細めながら頭や鼻を摺り寄せてくる仕草は、甘えたいときの仕草です。
競馬のパドックなどで厩務員さんと歩いている馬が、そのような仕草をするのを見たことがありませんか。
大きく美しい馬でも、甘えてくる馬はかわいいですよね。
また、やさしく摺り寄ってくるのではなく、強めに頭などを押してくる馬もいます。
その場合は甘えているわけではなく、「かゆい」と押し付けてくることがあるので注意です。
そんなときに「甘えたいのね!」と対応すると、馬は「ちがう!」とイライラしてくるかもしれません。
馬の気持ちを理解できるようにしっかり観察しましょう。
馬が体や手をハムハムしてくる
馬が人間の体や手をハムハムしてきたり、舐めてくることはありませんか。
ペットも舐めてくることがありますが、馬もこのときは同じように甘えているときやちょっかいを出しているときで愛情表現です。
これもその人間に対して信頼していたり、心を許している証拠です。
人間も馬からそのような感情を受け取ると嬉しくなりますよね。
しかし、馬も調子にのってくるとうっかり甘噛みをしてくることがあります。
かわいいのですが馬の甘噛みは結構痛いものです。注意しておきましょう。
前掻きをする
前肢を地面に叩きつけるように掻く仕草を前掻きといいます。
この前掻きは、かまってほしいときや甘えているときにもみられる仕草です。
しかし、前掻きは他の意味でやることもあります。
例えば、エサが目の前にあるのに食べられないとき、前に動きたいのに動けないときなど欲求不満の気持ちの表れでもあります。
その他にも、お腹が痛い(疝痛)場合にも前掻きをします。
疝痛は最悪の場合、死に至ることもあるので早めの処置が重要です。
馬が前掻きをしていたら、「=(イコール)甘えている」ではなく他の理由も探ってみましょう。
気になる様子があったら近くにいるスタッフに確認してみると安心です。
感情表現ゆたか!その他の馬の仕草を見てみよう
馬はその他にも体のさまざまな部分を使って、感情を表現します。
特に耳やしっぽはよく感情を表します。
馬のそれぞれの仕草の意味を知っておくと、馬への理解がより深まります。
馬をよく観察して仕草から感情がわかるようになると、馬も「この人はわかってくれる人」と心を開いてくれるようになります。
そうするともっと仲良しになれますよね。
ここからは代表的な馬の仕草とその感情を解説します。
馬の感情を理解してあげられるように、よく観察してみてください。
耳を後ろに伏せる
草食動物である馬は、広い草原の中から異変や危険をいち早く察知し逃げることで天敵から身を守ります。
そのためあらゆる方向からの物音もキャッチできるように、耳の筋肉は発達しており、左右の耳をバラバラに動かすこともできます。
そんな馬の耳が後ろに伏せているとき、馬はどんな気持ちなのでしょう。
この耳が後に伏せている状態を「耳を絞る」ともいい、これは不快感や怒りを感じているときにみせる仕草です。
もし馬に、何か働きかけをしているときにこの仕草をしたら、その指示や行動に不快感を感じていることが考えられます。
原因が何かを観察してみましょう。
また、耳が正面から見えないほど倒れている場合は、威嚇や攻撃の感情を持つほど不快感や強い怒りを感じているようです。
この場合、威嚇のために噛んできたり、後ろ肢で蹴られる可能性が充分に考えられるレベルです。
他の馬も人間も、後ろを歩かないようにする・近づかないようにするなど注意しましょう。
耳をピンと立てる
耳がピンと立って前をむいているときは、その方向にある物やそこにいる生き物に対して、注意や関心を持っています。
馬は大きな体に似合わず、臆病な動物です。
そのため、見慣れないものや聞き慣れない音に緊張したり、不安な気持ちになってしまうことがあります。
耳をピンと立て、視線がそこから動かないようであれば、一生懸命観察しているのかも知れません。
やさしく声をかけて、安心させてあげましょう。
しっぽを上げる
長くて優雅な馬のしっぽって実は毛だけではないのをご存知ですか。
「馬の後ろは通らない!」と教えられているとなかなかしっぽの内側を見る機会はないと思いますが、毛に隠れているその内側には、毛の長さに比べて短い骨や筋肉があります。
そんな馬のしっぽは虫を追い払うのに役立つだけでなく、耳と同じくらい感情表現にも使われます。
例えば、しっぽを高く上げて軽やかな足どりで駈け回っているのは、嬉しくて気分が盛り上がっているときにみられる様子です。
気分の高ぶりがしっぽに表れていますね。
放牧のときや仔馬のときによく見られます。
また、しっぽを上げているけれど、足どりが軽いわけではない。顔を高くして耳をピンと立てているときには、見慣れないものや聞き慣れない音に警戒していたり興奮しているときです。
しっぽを巻き込む
馬が豊かなしっぽを後ろ肢の間に巻き込んで大人しくしているところを見たことはありませんか。
これは馬が恐怖や不安を感じていることを表しています。
刺激を与えたりせずに、低い声でやさしく声をかけて落ち着かせてあげましょう。
口元を緩める
口元が半開きになって緩んでいるときは、馬はリラックスしています。
目もやさしく微笑んでいるようにも見えます。
くつろいでいたり、眠くなってくるとどんどん口元が緩んできますよ。
反対に口がギュっと嚙み締められているときは、集中しているときにみせる表情で運動中に集中しているときによくみられます。
また集中しているとき以外にも口を噛み締めているときがあります。
これは「なんか嫌!」という反抗のサインでもあります。
よく観察して、その原因を取り除いてあげるようにしましょう。
口をもぐもぐさせている
食べ物が口に入っているわけではないのに、口をもぐもぐさせたり、舌をペロペロ出したりする仕草を「チューイング」といいます。
これは人間や他の物の動きに納得して、安心したときに見られたり、相手に対して服従や従うというときも見られます。
もし、騎乗中に合図を出して馬がチューイングをしていたら、「あなたの指示に従いますよ」というサインです。
この仕草は仔馬が母乳を飲んでいたことの名残からきているといわれています。
また、仔馬が群れのなかで大人に馬にチューイングのような仕草をすることがあります。
これを「スナッピング」といい、「私は子供で無害です」「威嚇しないで」というアピールに使っているようです。
後ろ脚を浮かせている
馬房の中や放牧中に1本の足をつま先だけついて、浮かせている状態の馬を見たことがありませんか。
つま先だけがチョンとついていてかわいらしくもありますが、初めてみると「痛いのかな?」「ケガしているのかな?」と気になってしまうと思います。
これはただ、浮かせている足を休ませて残りの3本で立っている状態です。
草食動物である馬は、危険があればすぐに逃げなければいけません。
しかし、すぐに逃げたり走ったりする必要がないと感じたとき、つまりリラックスしているときにこのように1本の足だけ浮かせて休ませているのです。
そのためいつも決まった足だけでなく、何かで注意が引かれたタイミングで別の足に変わることがあります。
また浅い眠りに入っているときにもこのようなポーズをとることがあります。
馬は人間と違って立ったまま眠れるので、そのようなことができるようです。
頭の高さ
馬は頭の高さによって印象も変わってきますが、みなさんは馬の頭の高さといってどこをイメージしますか。
競技会に参加する馬や競走馬などは首をピンと伸ばして頭が高い位置にあります。
乗馬クラブでも駈歩をしている馬と常歩をしている馬でも頭の高さが変わってきます。
放牧中の馬は首を少し下げています。
馬にとって頭の高さが集中度の高さといえるかもしれません。
見慣れないものや聞き慣れない音を聞くと反り返るほど首を伸ばして頭を高くし、広い範囲を観察します。
そしてリラックスしているときには、頭と背中が同じ高さになっています。
ゆっくり地面の草を食べようとしているときには、さらに頭が下がっています。
これを考えると、馬がリラックスして頭が下がっている状態が微笑ましく思えますが、騎乗中に馬がグンと頭を下げるのには要注意です。
理由は頭を下げることでハミからの指示が伝わり難くなりますが、馬は人間からの指示を拒否したい気持ちで頭を下げることがあるからです。
まとめ
動物である馬の気持ちを理解することは困難に感じるかも知れませんが、馬もペットとして飼われている犬や猫と同様に体を使って感情表現をするのでそれほど難しくはありません。
特に体や腕をハムハムしてきたり、頭を摺り寄せて甘えてくるときは、かわいらしくその気持ちに応えてあげたくなりますよね。
その他にも不安や緊張を感じているときは助けてあげたくなると思います。
馬の行動や仕草をよく観察して、対応してあげることで馬への理解が深まり、馬も「信頼できる人」と心を開いてくれるかもしれません。
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