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調馬索運動の開始=馬場に行くまで【~馬にたずさわる人全てが調教者~4】

2016/7/21

ハミを付けることができたらいよいよ運動を始めます。
初めて人間の指示で彼女に運動をさせようとしているのですから、
彼女はこの人が自分に何をさせようとしているのか理解できずにパニックになり、
いろいろな動きをするであろう事を想定しておいて下さい。

 

・口を開けハミから逃れようとする行動
・行く方向が定まらず肢の運び方が不安定
・立ち止まって動かない

 

さらに、馬房から出た外の環境は人の声・人工的な音・鳥の鳴き声・風の音・
広い馬場・置いてある一輪車・障害物やら柵・あちこちで動き回っている人・機械・
他にも犬やらネコやらポニーやら、彼女にとってはこれら全てが恐怖の対象なのです。

 

・周囲を気にして興奮する
・興奮してすごい勢いで走ろうとするか動けないで固まる

 

上記の様な事が予測されますので、これらに事前に対処するため

 

1.ハミは左右にずれることのない環状バミ(※)を使用することをお薦めします。
2.前肢をバタバタさせてぶつける可能性が高いのでプロテクターを装着します。
※ノーマルのリングビットに大きなリングの環状バミが合体しているもの

 

プロテクターも恐い物体なので、よくプロテクターで体を撫ぜながら慣らし
恐がらなくなったら肢に当てベテランの馬と同じようにスムーズに付けてください。
この時までそーと恐々しているとかえって警戒して嫌がることがあります。

 

・調馬索(ちょうばさく)リンク(円馬場)が有るのであればここで行ってください。
・追鞭(おいむち)は先の紐が長くない扱いやすいものをお薦めします。

 

ハミに調馬索を繋いだら馬の左側に立ち右手で口元から20,30cmほどの所をしっかり持ちます。
この位置で握っていれば走る前に押さえることができますが

これ以上長いと走ってから押さえることになり簡単に馬に持って行かれてしまいます。
さらに馬が蹴った時あなたは最も蹴られ易い位置に立たされてしまうことになるからです。

 

左手に束ねた調馬索と追鞭を持ち、自分は行く方を見ながら右手で馬を行く方へ引くように歩きます。
馬が歩いてくれない時は、左手の追鞭を馬の視界に入るように背中越しに立てるように動かしてみます。
すぐさま反応するようであればすぐに動き出しますが、気がついていてもまったく無視するようならお尻にぺちぺち程度に当てます。
※すでに追鞭で叩かれた経験のある馬は鞭の動きに敏感ですから、
あなたが初めてその馬に調馬索をするのであれば新馬・古馬に関わらず
追鞭はゆっくりと反応には個体差があります。まずは注意深く丁寧に使用して下さい。

 

調馬索運動は、簡単で誰にでも手軽にできる運動ですが調教の過程においてはとても重要な運動です。
ここで人が馬をコントロールすることができずに馬に好き勝手なことをされてしまうと、人に対して反抗心の旺盛な馬になってしまいます。
また、小さな円の中で理性を失って走られてしまったりする事もあるわけですから、
肢をぶつける、滑る、転ぶ、捻じる等による大きな事故の起こる頻度も高く大きなリスクのある運動とも言えます。

 

ですから、調馬索運動に関してのコラムは数回に分けて詳しく連載して行きたいと思います。

 

平成28年7月
長谷川 雄二

 

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