調馬索ロープのつけ方色々【~馬にたずさわる人全てが調教者~8】
サイドレーンやシャンポンを装着しても普通に調馬索運動ができる馬、新馬ではないがちょっとやんちゃな馬、
まったくの新馬などが突然下記のような行動をしたら、その行動の内容により調馬索ロープの装着方法を変えることで人の支配力を強くして馬の行動を抑制しなければなりません。
但しこの時、人はその行動の原因を推測すると同時に馬の態度をよく観察して、
馬と向き合う自身の態度をはっきりしておく必要があります。
①人の方を向いて止まってしまう。
《原因》
・道具類が強すぎて前に出られない ⇒ サイドレーンやシャンポンを馬が前に動ける位置まで緩くしてください。
・調馬索を持っている人の立ち位置が馬の前寄りになり過ぎ ⇒ 人は常に馬を後ろから追うように同じ大きさの円になるように動いてください。
《馬の意識》
・動けないよー助けて!
・どうしたらいいの?何をすればいいの?遊んでくれるのかな?
《人の取るべき態度》
・正しく調馬索ができるように自らが反省と注意をする。
・けじめを付けて「遊ばないよ、今は運動する時」と励ますように追う。
《ロープの装着位置》
・ハミ環の外から内に通して上腹に止める。⇒ サイドレーンを後にきつくしても動けるようにロープを強くしたり弱くしたりして使用することで口の緊張を取り顎をほぐすことでハミに抵抗無く動けるようにする。
②いきなり反対回りになって走り出す。
《原因》
・ちょっとした物見で反対回りをしてしまった。
・馬が好き勝手できる状況を作ってしまった。
・過去にそのまま反対回りを許されていた経験がある。
《馬の意識》
・左回りヤダ!右回りにしよ!勝手に変えても怒られないや、怒られても好きにできるし!
・へんな追い方するし、何言ってるのかわかんない。
《人の取るべき態度》
・馬に悪気があるわけではないので、反対回りをすぐにやめさせるべく優しく声を掛けながらなだめて止める。
《ロープの装着位置》
・ハミ環の外から内に通しさらに上腹の一番上の環に通し反対側のハミ環に装着する
・外側のサイドレーンを内に向き難い長さにつめる。
・上記の装着をしてもまだ治らない場合は、人の握り手側の端にナスカンを着け外側のハミ環に片側を装着そのロープを馬体の後ろ飛節の上に来るようにぐるり廻して持ちます。
反対側のナスカンは普段のように内側のハミ環に着け普通の調馬索と同じ立ち位置で、二本の調馬索を持つようにして蹴られないように注意して廻します。
少しでも内方姿勢を崩して反対側を向こうとしたらこの二本の索を動かして馬が真直ぐになるようにして運動します。(ロングレーン運動)
③人に向かって噛みに来る。
《原因》
・過去に調馬索をしている時、意味不明の暴力を受けた。
・過去あるいはその人に虐待に近いことをされている。
《馬の意識》
・人に対し馬が上位に立っている。
・噛む動作で人に勝てる。
・噛む動作で人は自分自身の恐怖心よりも強い恐怖心を持つことが分かる。
《人の取るべき態度》
・毅然として真正面から立ち向かう。
・この馬の将来のためにも、噛みに来る行為をなにがなんでも止めさせる。
《ロープの装着位置》
・二本の調馬索で片方は上腹の外側の環を通し外側のハミ環に着け、もう一方は内側の上腹の環を通し内側のハミ環に着けて運動します。
馬が何かきっかけに成ることを見つけて噛みに来るのを待ちます。
向かって来た所で手綱を思いっきり当てるように強く使い追鞭で首めがけ思いっきり叩いて叱る必要があります。
怯まず思い切り動作してください。なるべく少ない回数で馬が“もうしません”と言ってくれるように。
・上の処置が終わったら、上記②のロングレーンによる調馬索をしばらくの間行えば普通の馬に戻ってくれると思います。
*人は馬がちょっとやんちゃをすると悪い馬だといって叱り、
人の望み通りにならないと正しく意思を伝えてもいないのにハミを弾いたり鞭で叩いたりしています。
馬の立場になって気持ちを理解してあげられるようにしてゆく事が調教の始まりです。
どんな馬でも初めから人に敵意を持った馬などいないのですから。
平成28年11月
長谷川 雄二
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