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騎手の基本(バランス)【~馬にたずさわる人全てが調教者~21】

2018/5/1

馬に乗ると言うことは馬にまたがると言うことです。
椅子には座るとか腰かけると言いますが、馬(鞍)には「またがる」です。


つまり、またがって馬と接触しているお尻でバランスを取っていなければならないのです。
あとは馬体に接触している股間(お尻に力を入れない)、太もも(閉じない)、膝(閉じないで動けるように力を抜く)、ふくらはぎ(自身の身体が動くのを閉じて止める。


推進や扶助として馬体に密着させる)、踵(推進や扶助として強く馬体を押せるように)です。
これらの部位を適切な位置に動かして(ここではバランスだけを考えて)力を入れるのか、力を抜くのかになります。


先ず位置の確認をしましょう。

1.地面にきをつけの姿勢で立ってください。
爪先を真っ直ぐにして肩幅まで開いて立ちます。このまま少し股間の力を抜きわずかに膝を開き、足首と膝を折りながら真っ直ぐ上体を低くします。

 

2.上半身を力ませず、体幹(ここでは頭のてっぺんから腰、坐骨まで)をしっかり意識して下腹が垂直になるように構え、上体の力を坐骨に集める事ができるようにイメージトレーニングしてください。

 

3.肩は力をいれずに体の真横に置き何時でも肩甲骨を閉じる事ができるように構えます。


4.肘を曲げ胸の前でボクシングのパンチを出す時の構えを手首を折らずに拳を軽く握って作り、そのまま両手の平が向かい合うようにゆっくりと肘が100度程度(この角度は状況によって変わります)になるまで下げていきます。


これが馬にまたがった(乗った)時の、貴方のバランスの取れた正しい姿勢です。その姿勢を鏡で見て下さい。
踵はお尻のラインと一致しているはずです。股関節、膝、足首の折れ具合が大きくなるにつれ鐙が短くなったと言うことです。

 

鏡の前に立ち徐々に肩を前に倒しながら股関節、膝、足首を折り曲げ馬場姿勢から障害姿勢、競馬のモンキー姿勢までの変化をしっかり感覚として身に付けて下さい。
その地面での姿勢が馬にまたがった時にも出来れば常にバランスが取れていると言うことです。これが基本となる騎手のバランスです。

 

馬の重心と騎手の重心が一致し常に騎手がバランスを崩すことなく馬の動きについて行ける事が理想です。
しかし実際に動いている馬の上では馬自体のバランス(重心)の変化、坂を登る時、降りる時、高速での回転、方向変換では遠心力や急激な重心の移動等あらゆる動きを想定した騎手の構えが必要となってきます。


いかに馬の動きに柔軟についていくことが出来るかが重要です。まずは地上で、次に常歩で、不整地の走行も効果的な練習です。
モンキー姿勢から馬場馬術姿勢までの変化の中で、バランスが取れている自身の姿勢をしっかり身体で覚え、馬のどんな動きにも素早くバランスを崩すことなく随行できるようになって下さい。


貴方も安全で楽な騎乗が出来るため、馬にも余計な負担を掛けないためにも!


平成30年5月
長谷川 雄二

 

 

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