馬術入門(17)【~馬にたずさわる人全てが調教者~75】
馬装前の手入れに入ります。
ここでは、全く人の手の付けられていない新馬、ちょっと神経質で怖がりな馬、雑なあるいは間違った扱いをされて人のやることを嫌う馬、全く初めて触る馬で2才から4才位の馬、これらの馬であれば馬装の動作は全く新馬の鞍付けと同じ気遣いで動作の1つ1つ馬の反応を見ながら丁寧に行って下さい。
・裏掘り
声を掛けながら上げたい肢の管骨の球節に近い部分に手を添えて自分の肩で馬の肩を押すようにして馬が自ら肢を上げてくるのを待ちます。(この時後肢で前蹴りしようと思えば前肢のところまで届くように蹴る事が出来ますので頭を馬のお腹の下の方まで入れないようにして下さい。)
のんびりした馬はおもむろにゆっくり反応して上げますので、慌てずに待ってあげて下さい。
上げたら慌てずに素早く滑らかに添えていた手を繋ぎ部分の蹄に近い蹄冠部分を持ちます。
左右の蹄叉側溝から蹄鉄の内側に沿って掘るとスムーズです。
・ブラッシング、手入れ
声を掛けながら、片手は馬体を優しく撫でるように触れながら皮膚の状態を確認しながら全身のブラッシングを進めて下さい。
最初はブラシを斜めに馬体に着けながら毛並みに沿って撫でるように行って様子を見ます。
大丈夫であれば汚れをしっかり取る為にゴシゴシ逆毛で擦ったり、強く擦ったりしてかまいません。
ただ馬が嫌がる胸からお腹、お腹周り、股、後肢内側、肛門周り、顔、項、耳周り、等に関してはあなたをその馬が認識して信頼関係が出来るまでは気遣いを持って優しく動作して下さい。
特に顔周りの水を使った手入れで馬が嫌がっている所をよく見掛けます。
あなたが信頼している人にホースで顔に水をかけられたらどう思いますか?
ましてや耳に水が入りそうなら、嫌がるだけではすみません。
怒りだすでしょう。
馬が嫌がらないやり方を自分の身に置き換えて考えてみて下さい。
口周りや鼻の穴は汚しやすいので濡れたタオルで口周りから鼻の穴を流すようにします。
この時口の中に濡れたタオルを少しだけ入れて慣らしておくと先々歯ヤスリ等をする時人馬共楽にする事が出来ます。
耳周りも絞ったタオルで拭くことをしながら素手で触る習慣にしていると体温を計らなくても毎日触っている馬であれば体温の高低差を感じることが出来るようになります。
毎日の手入れは馬の健康状態や外傷、腫れ、熱、馬の気分まで知る事が出来ます。
しっかり向き合って丁寧に行って下さい。
令和4年12月
長谷川 雄二
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