馬の品種は200種類以上!乗馬クラブでよく見かける種類を中心に特徴をご紹介
みなさんにとって馴染み深い馬といったら、乗馬用の馬や競走馬でしょうか。
馬のイメージをそこで固定させていると観光地で見る馬車を曳く馬がすごく大きく見えたりしませんか?
反対に小さな子供向けの体験乗馬で見かけるポニーはとても小さく見えたりしますよね。
実は馬の品種は200種類以上になります。
また、それぞれに体の大きさの違いや性格の違いがあります。
ここからは主な品種を紹介します。
馬の主な品種
馬の種類がそんなにたくさんあることに驚いた方もいるのではないでしょうか。
200種類を覚えるのは大変ですが、代表的な品種を知っていると馬との出会いがより楽しくなります!
アラブ種
アラブ種の起源はその名の通りアラビア半島で、遊牧民ベドウィンたちにより厳格な血統管理の元、改良されていった品種です。
体高は約140cm〜150cmで、体重約400kg。
サラブレッドに比べて小柄で華奢で速力も劣りますが、耐候性や耐久性に優れています。
1500年代以降にはヨーロッパに多く持ち込まれ、サラブレッドやクォーターホースなどアラブ種を元にした品種が作られました。
アングロアラブ種
アングロアラブ種は、アラブ種の強健性・従順さとサラブレッド種の軽快性を兼ねさせる目的で両者を交配した馬で、アラブ種の血量が25%以上のものをいいます。
体高は約160㎝です。
サラブレッドに比べて丈夫で粗食にも耐え、維持管理も容易といわれています。
サラブレッド
サラブレッドは最も身近で有名な馬ではないでしょうか。
世界各国で競走馬として、そして乗用馬として活躍しています。
その歴史は18世紀初頭のイギリスで始まり、アラブ馬とハンター(狩猟に用いられたイギリスの在来馬)等から競走馬として品種改良されていきました。
頭が小さく、足は長く、スマートな体型で「人が作り出した走る芸術品」ともいわれています。
肉体的にも精神的にもデリケートで、ちょっとした物音にも驚くほど敏感で臆病な性格です。
サラブレッド系種
「サラブレッド系種」ということから、サラブレッドだけではないことが想像できると思います。
サラブレッド系種はアラブ血量が25%未満で以下の掛け合わせで生まれた馬のことをいいます。
- ・サラブレッド×サラブレッド系種
- ・サラブレッド系種×サラブレッド系種
- ・サラブレッド×アングロアラブ(アラブ系種)
- ・サラブレッド系種×アングロアラブ(アラブ系種)
- ・軽半種にサラブレッド種(あるいは同系種)を2代掛け合わせたもの
そして、広義ではサラブレッドも含まれ「サラブレッド系」「サラ系」とも呼ばれます。
以前はサラブレッドとの交配でアラブ血量が25%を下回ったアングロアラブ馬は「準サラ」と呼ばれていました。
しかし1974年(昭和49年)6月1日の登録規定の改正によって、「準サラ」という品種は廃止され「サラ系」に含まれるようになりました。
その他の品種
ここまで代表的な馬を説明してきましたが、日本では一般的に馬の種類を「軽種」「中間種」「重種」に分けます。
ここからはポニーを加え、それらの代表的な馬の種類について詳しく紹介していきます。
ポニー種
ポニーって小さくてかわいいですよね。
しかし、ポニーという名前の品種は存在しないのです。
「え?どういうこと?」と驚かれるかも知れません。
実はポニーというのは体高が147㎝以下の馬の総称で、この条件を満たした馬は全てポニーになるのです。
ポニーは温厚な性格で体も小さいことから、小さな子供向けの乗用馬として、またマスコット的な存在として活躍しています。
体は小さいですが、耐久性があり、スピードも時速40㎞ほど出せる運動能力があります。
ポニーの中にはファラベラという世界一小さい馬の品種として有名な馬もいます。
その大きさは体高が約70〜78㎝。小さなものでは40㎝台の馬もおり、犬と変わらない大きさです。
その他にも、フェルポニーという品種は山脈など厳しい環境で飼育されてきた品種です。
体高は約130〜140㎝で小さく感じますが、強靭な脚力で昔は鉛・銅・鉄鉱石・農産物を運んでいました。
このようにポニーとひとことでいっても、さまざまな品種の馬がいるんですよ。
軽種
軽種は軽量で動きが素早く、走るスピードも速く、スマートな体型をしています。
日本では軽種といえばサラブレッドが有名ですが、ここからはその他の軽種の代表的な品種を紹介します。
アハルテケ
「黄金の馬」と呼ばれるアハルテケをご存知ですか。
最大の特徴である光沢のある毛づや、まっすぐな頭部と長い耳、アーモンドのような目、長い背中とスリムな体型。その美しい容姿から「黄金の馬」と呼ばれています。
光沢のある毛色は月毛や河原毛が多いですが、鹿毛や青毛、栗毛にもみられます。
アハルテケは中央アジア南西部の砂漠の多いトルクメニスタン原産の馬で、砂漠という過酷な環境にも適応するタフで丈夫さを持っています。
また運動能力も高く、持久力にも優れているため、馬場馬術や障害飛越競技などで活躍しています。
リピッツァナー
リピッツァナーは16世紀のオーストリアのリピッツア牧場で品種改良を始めたことに名前の由来があります。
当初の生産の目的は王室に気品ある良質な馬を供給することにありました。
体高は150〜160㎝。
毛色は芦毛が大部分を占めますが、鹿毛や栗毛も見られます。
肉体的には丈夫で柔軟性があり、精神的には忍耐強く感受性が優れ、賢い馬です。
16世紀末〜18世紀半ばにかけては軍馬として使われ、世界最良の軍馬のひとつともいわれていました。
トラケナー(トラケーネン)
トラケナーは18世紀にプロイセン王国(現在のドイツ北部からポーランド西部)で、品種改良して作られた品種です。
トラケナーが作られた目的は、オーストリアのリピッツァナーに対抗する軍馬を作ることでした。
その結果、18世紀半ばにはリピッツァナーと共に世界最良の軍馬のひとつとして認識されました。
なお、日本ではトラケーネンとも呼ばれますが、これはトラケナーを生産したトラケーネン牧場の名前が品種名と誤解されたことによるようです。
トラケナーは、スピード・持久力に優れていましたが、19世紀後半になるとスピード能力が高いサラブレッドにその地位を譲ることになりました。
アンダルシアン
アンダルシアは、別名「スパニッシュホース」と呼ばれ、スペインの闘牛士の伝統的な乗用馬として使われてきました。
スペインの他にもイギリスやデンマークなどの王室用馬の基礎として使われるほど、優雅で高貴な見た目の品種です。
身体的な特徴は長い背中と厚い胸、豊かな尻尾です。
強靭な脚と柔軟な関節をもっているためさまざまな動きができるうえ、従順な性格なため高等演技に適しています。
日本でも馬事公苑などでアンダルシアンホースダンスといって、音楽に合わせた華麗な演技をみることができます。
中間種
中間種は、軽種とこれから紹介する重種を掛け合わせて作られた馬です。
軽種の軽快さと重種のしっかりした体格や穏やかな性格を合わせもち、乗りやすい品種といわれています。
そのため馬術競技、ウエスタン乗馬、馬車を曳くなど用途もさまざまです。
クォーターホース
クォーターホースの正式名称はアメリカンクォーターホース。
その名のとおりアメリカ原産の馬です。
体はサラブレッドに比べてやや小柄ですが、がっしりとした筋肉質の体型です。
ダッシュ力があり急発進・急停車ができ、400mではサラブレッドと互角に戦えます。
400mとは1マイル(1600m)の4分の1、クォーターマイルです。名前の由来はそこにあるんです。
セルフランセ
「セルフランセ」という品種の馬を知っていますか。
聞き慣れない品種かもしれません。
セルフランセは、アングロアラブや軍用として価値を失ったアングロノルマン等を元にフランスで1965年に作られた馬でまだ歴史が浅い品種です。
その他にサラブレッドやスタンダードブレッド等雑多な血が含まれていて、アングロノルマンや血統の怪しいアングロアラブをそのままセルフランセとして分類したため、体型などの性質は個体によってばらつきが大きくなっています。
しかし、セルフランセとして登録するためには優秀な馬でないといけないために能力は高く、性格は温厚で素直、耐久性も優れています。
ハクニー
ハクニーはイギリス原産で、小さな頭に大きな目、尻尾は高い位置についていて、たくましい体型をしています。
特に脚は丈夫で馬車をひいてもスピード・持久力共に優れています。
また、ハクニー歩様といわれるほど馬車をひく優雅な歩様が有名で、馬車馬としては最上級の品種です。
フリージアン
馬の中で世界一のイケメンといえば、フリージアン。
漆黒の青毛にアーチ形の長い首、彫の深い頭に小さい耳、たてがみや尻尾は豊かで長く、ウェーブがかっている個体が多くいます。
オランダのフリースランド州が起源で森林馬の子孫といわれています。
体高の平均は160㎝で、体格の割には優雅で軽快に走る馬です。
イケメンなうえ、体力・俊敏性・知性に優れ、また人に懐きやすい性格をしています。
※フリージアンは重種とされることもあります
重種
重種は名前の通り、体重は800㎏〜1tを超えるほど体が大きい馬です。
スピードはありませんが力持ち。
そのため、重い荷物や馬車をひいたり、農耕馬として活躍しました。
驚くかもしれませんが、人間と馬の関わりで一番古いのはこの重種といわれています。
馬はもともと農耕馬であったり、荷物を運ぶための家畜でした。
その後、人間が馬に跨り競技を行い、戦いでは騎馬として馬に乗って戦うようになりました。
まとめ
それぞれの品種ごとに原産地や目的が異なりますが、改良されながら新たな品種が誕生してきました。
これから馬を目にするときに、品種にも注目してみると新しい発見がありそうですよね。
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