正しく覚えて使いこなそう!ハミの種類、使い方
乗馬で馬の口に含ませる主に金属製の馬具、ハミ。
一見どれも同じようにみえますが、形や素材の違いなど様々な種類があります。
ハミを変えるだけで、乗り心地も変わるといわれています。
今回はそんなハミの種類と選び方についてお話します。
せっかく種類があるのですから、違いを理解し、ピッタリのものを使いましょう。
この記事で分かること
・ハミの仕組みと種類
・ハミの正しい選び方
ハミとは?何をするための馬具?
ハミは馬の口に噛ませる棒状の馬具で、両端を手綱と接続して使用します。
それにより騎手の拳からの扶助操作を馬に伝えることができるようになります。
ハミによって、人は馬をコントロールすることができるようになり、家畜として、軍馬として、乗用馬として馬との関係を築いてきました。
そんなハミについてみなさんはどれくらい知っていますか?
大昔からある!?ハミの由来
人間と馬の関係はとても古く、5000年以上も前から人が馬をコントロールするための馬具があったとされ、3500年前にはすでに金属製のハミが使われていたようです。
その発祥は、メソポタミアや古代オリエントともいわれており、そのことからも大昔から存在していたことがわかりますね。
また、金属製のハミが使われる前は青銅製のもの、それよりも前は骨や角・硬い木などが使われていたようです。
そんな昔から馬との関係があったなんてご存知でしたか。
ハミの仕組み
ハミはただ馬の口に噛ませるだけの馬具ではなく、頭絡を構成するものです。
前述の通り、ハミの両端は手綱に接続されています。
そのため、頭絡を付けることでハミを噛ませることができます。
ところで、馬は口の中にハミを入れても痛くないのか、気になりませんか。
実は馬の歯には前歯(切歯。牡馬は犬歯も)と奥歯(臼歯)の間に「歯槽間縁(しそうかんえん)」と呼ばれる歯の生えない部分があるのです。
頭絡の頬革の長さを調整することで、その部分にハミがくるようにすると馬は口の中でハミを嚙むことがありません。
この歯槽間縁があることでハミが発明され、そして馬は乗用動物として人間と密接に関わってきたことが想像できますね。
ハミの種類
同じように見えるハミも比べてみるといくつか種類があることがわかります。
形の違いはデザインだけでなく、効果も変わってきます。
ハミの種類と使い方を知って、効果的でその馬にピッタリのものを見つけてあげたいですね。
水勒銜(すいろくはみ)
一般的な水勒銜はハミにジョイントがあり、両側に銜輪があり、そこに手綱がつけられます。
手綱を引くと、ハミが馬の舌と歯槽に圧力を加えるとともに、ハミの端と銜環を通じて口角に作用します。
その作用は穏やかなので初級から上級まで幅広く使われています。
また、ジョイントは一つだけのもの(シングルジョイント)の他にジョイント部分を二つに増やしたもの(ダブルジョイント)があります。
ダブルジョイントは中央に小さな部品を繋ぐことでジョイントを増やしますが、その部品も形状により種類がわかれています。
シングルジョイントとダブルジョイントはデザインの違いだけでなく、馬への作用が変わります。
具体的にはダブルジョイントの方が穏やかだといわれています。
そして、銜輪の形状も種類が分かれています。
例えば円の形をした「ルーズリング」。
これは馬の口へのアタリが一番ソフトです。
そして、卵形の「エッグバット」は回転しないため、ハミが安定します。
さらにアルファベットの『D』の形をした「Dリング」または「Dバミ」は馬への指示が一番明確に伝えられるといわれています。
水勒銜だけでもこれだけの種類があることに驚きませんか。
大勒銜(たいろくはみ)
大勒銜は水勒銜に比べて、見た目が複雑です。
使い方も複雑ですが覚えると細かく扶助を出すことができます。
ハミの両端には、銜環ではなく銜枝があり、手綱は下銜枝につけます。
そして、たいていの場合は、小型の水勒銜「小勒銜」も併用して用いられます。
大勒銜の仕組みは、手綱を引くと、上銜枝を左右につなぐ鎖(グルメット)がおとがいくぼに押し付けられて、強い作用をもたらします。
ハミが馬の舌と歯槽に圧力を加え、舌緩めが口蓋に当たり、上銜枝に着けられた頬革と項革を引いて、馬の頭部に圧力を加えるようになります。
大勒銜を使うことで騎手は扶助をより細かく使うことができるようになります。
そのため、上級馬場馬術では必要不可欠。
また、障害飛越や猟騎など、過剰な前進気勢を抑えるために用いることがあります。
なお、たいていの場合は小勒銜と併用して使うと説明しましたが、ウエスタン乗馬では大勒銜のみで騎乗することがあります。
水勒銜に比べて、細かい部分が多く混乱しますが、それぞれ働きがあります。
その仕組みを理解するとおもしろいですよ。
その他のハミ(ペラム銜、キンバーウィック銜、矯正銜 など)
代表的なハミを2種類解説しましたが、その他にもハミの種類はあります。
例えば、ぺラム銜。
ぺラム銜は大勒銜と水勒銜を合体したものを想像するとわかりやすいかも知れません。
ぺラム頭絡に用いられ、ハミの横の銜環・ハミの端にそれぞれ小勒手綱、大勒手綱に相当する2本の手綱をつけるものと、補助革(ペラムコンバータ)を使って1本の手綱で操作するものがあり、使い方が異なります。
この銜は障害馬術やウエスタンで使われることがあります。
キンバーウィック銜は、広義では大勒銜の一種になります。
Dリングを使いますが、水勒銜の使い方とは異なります。
Dリングの銜環に、手綱をつける穴がいくつか開いていて、その選択によって作用の強弱を変化させます。
メリットとして、大勒作用を使いたいときに大勒銜では銜枝が物に引っかかるリスクがありますが、キンバーウィック銜はその心配がありません。
そのためポロ競技などで利用されます。
矯正銜はギャグとも呼ばれ、これも広義の大勒銜の一種です。
一般的なものは、ジョイントハミの水勒銜にてこの作用を得るための工夫をした手綱取り付け部がついていますが、グルメットはないため、作用は強力ではありません。
馬場馬術では使用できませんが、障害飛越や総合馬術のクロスカントリーで使うことができます。
形状により、アメリカンギャグ、ダンカンギャグなどさらに種類があります。
愛馬に合ったハミを選んであげよう!ハミの正しい選び方
ハミは騎手の意思が馬に直接的に、また明確に伝えることを目的としています。
たくさんの種類があるハミから、効果をより発揮するハミを選ぶのに重要なポイントがありますので一部をご紹介します。
また、ハミ選びに自信のない方はクラブのトレーナーに相談してみるのが良いでしょう。
ポイント① 長さ(横幅)を選ぶ
ハミに種類があることはこれまで説明してきましたが、サイズもあります。
人間もサイズの合わないものを身に着けていると、落ち着かなかったり、上手く動けず力を発揮することができません。
馬もハミが小さすぎると唇を引っ張り過ぎたり、大きすぎるとゆるすぎてスライドし、口や歯を傷つけてしまうことがあります。
ポイント② 太さ・厚みを選ぶ
太さ・厚みは馬の口のタイプ、運動のタイプで選びます。
太い方が穏やかで、細い方が強い圧力を感じるようです。
太さは2mm単位で増加し、細い物は8mm、太い物は24mmになります。
ポイント③ 材質を選ぶ
材質も種類があり、クラシック・コンビネーション・ハイテク素材に分けられ、それぞれ特徴があります。
また、それによって「ハミ受け」に影響があります。
ここでは、定番のものをいくつか紹介します。
・ステンレス鋼
耐久性があり、錆びにくい。口の固い馬向け。
・銅
一部の馬にはリラックス効果がある。銅は馬の口の中に甘味を作り出し、ハミの快適な噛み心地と唾液分泌を促進する作用がある。
・ゴム
ゴムは滑り止め作用があり、唾液分泌と咀嚼によって柔らかくなる。
・プラスチック
少し柔らかく、馬にとってより快適。口の敏感な馬向け。
・革
あまり目にすることはありませんが、革のハミもあります。敏感な口の馬の他に、若い馬やハミの受け入れが難しい馬に使われます。
ポイント④ 形状を選ぶ
ハミの形状には水勒銜で説明したように、結合が一つのシングルジョイントのもの、結合が2つのダブルジョイントのものがあります。
その他にも結合がされていないものもあります。
これは僅かに湾曲した形になっていて、ジョイントがあるものに比べて唇や舌に優しいといわれています。
ジョッパーズでお取り扱い中のハミ
乗馬用品ジョッパーズでは、様々なタイプのハミを取り扱っています。
選び方を理解できたら、ぜひ愛馬のためのハミを探してみてください。
ハミをつけたら愛馬の仕草をチェック!不快そうにしていたら要注意
人間の意見で準備したハミが、馬にとって合わないこともあります。
ハミをつけたら仕草をチェックしてみましょう。
新しいハミに関わらず、口に傷があったり、歯が痛いとハミを嫌がります。
不快そうにしていたら、口の中にトラブルがないか、ハミがあっているか、確認することも大切です。
まとめ
人間同士でもコミュニケーションが上手く取れると信頼関係も深まり、良好な関係を築くことができます。
馬も人と同じです。
コミュニケーションが上手くとれることで、扶助が上手く伝わり、一緒に競技を楽しむことができます。
そのためにも、ハミは重要なアイテムになります。
正しくハミを選ぶこと、ハミの仕組みと使い方を理解すること、そうすることによって馬とのコミュニケーションはさらによくなるそうですね。
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