馬の顔はどうして長い?馬の顔の不思議
馬の特徴は何と言ってもあの長い顔や鼻ですよね。
チャームポイントでもありますが、馬の顔や鼻は進化とともに必要に迫られて長くなりました。
あの鼻にはどんな役割や秘密があるのでしょうか。
この記事では、馬の顔や鼻について、長くなった理由や豆知識などをご紹介します。
この記事で分かること
・馬の顔(鼻)の役割
・馬の顔や鼻の豆知識
馬の顔(鼻)が長い理由とは?
馬の嗅覚は人間の嗅覚の約1,000倍あるそうです!
匂いをかいで食べられるものかを判断したり、人の匂いを記憶して判別したりすることもできるそうです。
しかし、臭いをかぐだけなら、顔が長くならなくても問題ないはずです。
それでは、どうして馬は顔が長くなったのでしょうか。
実はその理由は今も完全には解明されておらず、諸説あるようです。
ここでは、代表的なものを紹介します。
主食の草をすりつぶす大きな歯のために顔が長く進化した
馬の祖先は昔、森林に住んでおり、葉食性でした。
そこから地球の気候が変わってきて草がたくさん生えるように。
豊富な食料を求めて、馬はその住みかを草原へと移し、草食性に転じます。
しかし、馬には牛のように胃袋がいくつもあるわけではなく、反すうもできないため、消化をするためには歯で草をすりつぶす必要がありました。
そのため、臼のような形をした歯を持つように進化をしたのですが、臼の形状を維持するために歯自体のサイズが大きくなってしまい、歯の収まっている顔が長くなっていったという説があります。
走りの効率を上げるために顔が長く進化した
もう一つ、理由としてよく言われているものに馬の走力向上のための進化があげられます。
森林から草原に住みかを移すと、木のように陰になるものが何もないことから、肉食動物から早く走って逃げるようになりました。
動物が速く、長く走るためには酸素の取り込みを効率よく行う必要があります。
馬の肺は人間よりもかなり大きく、その肺に効率的に空気を送り込むためには、一度にたくさん空気を取り込める鼻が必要でした。
そのため、鼻のある顔が少しずつ長くなり、一度に肺に送り込める空気が多くなったと言われています。
さまざまな役割を持つ、馬の長い顔(鼻)!
馬の顔の長さは平均で約60cm、そのうち鼻の長さは40cmもあります。
では、臭いをかぐことやたくさんの空気を一気に取り込むこと以外にあの長い鼻にはどんなことができるのか、他にもある鼻の役割をみていきましょう。
吸い込んだ空気を温めてから肺に送る
あの長い鼻から一気にたくさんの空気を肺に送り込む馬ですが、その空気を温めて肺に送ることができます。
肺に送るときに空気が冷たいと、臓器や粘膜などの組織を傷つけてしまう可能性があります。
あの長い鼻を通る間に空気に湿り気と温かさを加えることによって、組織の損傷を予防することができるのです。
埃などから内臓を守る
埃などの細かい粒子は肺をはじめとした臓器に好ましいものではありません。
走っていると、どうしても埃を吸い込んでしまうのではないかと思いますよね。
ところが、馬の鼻にはフィルターのような役割もあり、このような細かい粒子を奥まで吸い込みづらいつくりになっています。
もちろん、完全に吸い込まないわけではありません。
餌や敷料の埃やダニ、カビを吸い込んでアレルギー反応を起こしたり、慢性疾患を起こしたりする馬もいます。
馬房を清潔に保ち、疑わしい症状が出た時には獣医師に診てもらいましょう。
馬の顔・鼻についての豆知識
馬の顔や鼻に関する豆知識をまとめてみました。
生きるために進化して長くなった顔や鼻も、いいことばかりではないようです。
馬は口で呼吸することができない
馬は口で呼吸することはできません。
騎乗後に馬の鼻がひくひくと大きく動いているのを見たことありませんか。
あれは、空気を取り込もうとして一生懸命、鼻が動いている証拠なんです。
この鼻の動きは、熱中症の目安にもなります。
これから暑くなってくる時期です。
あまりにも馬の鼻が大きく、速く動いていて、汗が変な出方をしている場合、熱中症の疑いがあります。
まずは体温を下げましょう。
首や太い血管が通っている股に水をかけてあげるなどの応急処置をして、獣医師に引き継ぎます。
馬は寒さより暑さに弱く、熱中症は命にかかわることもあります。
迅速で適切な手当が必要です。
また、馬の口は肺とつながっていないため、そうではない動物と比べて、誤えん(食べ物が気管に達してしまうこと)のリスクが低いようです。
動物でも肺炎は感染症による死因の上位になる疾患です。
馬の鼻はその感染を防ぎやすいつくりになっていると言えます。
しかし、高齢馬や喉詰まり(餌が喉に詰まってしまうこと)がクセになっている馬は、喉詰まりから誤えん性肺炎を起こすこともありますので要注意。
喉詰まりを起こしたら、獣医師に処置をしてもらうのが安心です。
馬の鼻は体の中で一番柔らかい!
馬の鼻は体の中で一番柔らかい部分です。
あの柔らかい鼻を使って、嫌いな餌をよけたり、好きな餌ばかり食べている馬もいますよね。
ブラッシングが気持ちいいと、鼻を伸ばして喜んでくれます。
その鼻、実はとても感覚が敏感な部分なため、あのように器用に動かせるのだそうです。
優しく扱ってあげましょう!
鼻血には要注意
馬は鼻でしか息ができないため、鼻血で鼻がふさがってしまうと窒息してしまい、命に危険が及びます。
しかし、鼻血には外因性と内因性があり、ぶつけてしまったなどの外因性(怪我)による鼻血であれば、大きな心配はいりません。
競走馬によくみられる運動誘発性の肺出血(肺からの出血)は鼻に血が溜まることによって馬が窒息することもありえます。
高強度な運動を行うことにより、過度に肺に負担がかかり血管が切れてしまい、肺で出血したものが鼻までたどってきて、鼻血として発現します。
競走中に肺出血が確認された馬は、疾患の治癒と人馬の安全のため、次のレースまでに一定期間を空けなくてはならない出走制限が設けられます。
さらに内因性にはカビに感染したことによるものもあります。
鼻血を見つけたら、まずは獣医師の診察を受けて鼻血の原因を特定しましょう。
まとめ
今回は馬の特徴である顔と鼻の長さの秘密に迫ってみました。
馬が馬として生き残るために、進化を遂げて今のような長さになったようです。
馬の顔があんなに長いことに加えて、口では息ができないことからハミの位置が安定します。
そのおかげで私たちは乗馬を楽しむことができます。
馬が生きるために進化していった顔や鼻は、人間がパートナーになるためにも必要不可欠な進化だったのです!
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