調馬索運動で馬をコントロールする【~馬にたずさわる人全てが調教者~6】
人間が調馬索(ちょうばさく)リンクの中央に立っている状態で、
スピードが遅かろうが、速かろうが、歩法(※ほほう)が常歩であれ、速歩であれ、駈歩であれ、
声やら、舌鼓(ぜっこ)やら、追鞭(おいむち)を使って馬を前に出すことが重要です。
※馬の歩き方、走り方
動き始めは、進行方向側に持った調馬索を開くようにして進行方向を馬に示しながら追鞭や声、舌鼓で馬を前に動かします。
始めはもたもたしていた馬もいざ前に動き出すといきなり走ったり、跳ねたりして自ら興奮してくるでしょうが、人間は冷静に行動してください。
人間が少しでも興奮したり、焦っている所を見せると馬はさらにヒートアップしてしまいます。
馬が外に膨れ過ぎてリンクの柵に突っ込んだり、蹴った肢が当たらないように調馬索をしっかり引き締めておいて下さい。
そんな動作をしながらでも自分はあくびをしながらのんびりと構え、
“大丈夫だよ、恐いことないよ、落ち着いて”
という気持ちを込めて、馬に聞こえるよう大きな声でゆっくりと伸ばして「ほーーー」と何回も声を掛けてあげましょう。
やがて疲労からか、落ち着いてきたのか、ゆっくりとした動きに変わってきた所で
駈歩or速歩をしていたのなら調馬索を少し引き寄せ小さな円にして「速歩」or「常歩」と声をかけます。
馬はその声により、緊張と疲労から開放されたかのように指示された動きに落としてくれます。
そこで癒しの音である濁音、“が、ぎ、ぐ、げ、ご”どの音でも良いので伸ばしながら発声します。
“ぐーーー”徐々に歩かせながら小さな円の常歩にしてから「ステー」もしくは「止まれー」で
人が馬の側面を見ながら声と調馬索の引きとで停止させてください。
絶対に馬が人の方を向いて停止させないで下さい。
以上の調馬索という一連の流れの経験から馬は、人の立ち振る舞い、追鞭の動きや調馬索の動作、
音声を聞くことで人が自らの興奮や緊張、疲れから開放してくれるんだと人に対し良い期待を込めて注目することを覚えます。
絶対にしてはいけないのが馬を脅かすような人の動きであったり、罵声を浴びせるような発声です。
馬が人を恐い嫌な対象として注目して育ったのであれば人は必ずどこかで裏切られます。
平成28年9月
長谷川 雄二
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