基礎調教(歩幅、バランス、リズム、)【~馬にたずさわる人全てが調教者~13】
横木通過は、どんな用途の馬であれ基礎調教においてとても有効です。
●歩幅の増大
●バランスの安定
●動きのリズム
などを充実させるために役立つほか、馬自身が自ら身体の使い方、肢の運び方を覚えるのです。
初めて地上横木を通過させる時は1本の横木を調馬索でしっかり馴致する事から始めて下さい。
馬が異常に横木を気にして覗き込むように見るようでしたら曳き馬で横木の周りを廻りながら徐々に横木を確認させます。
そのまま曳き馬で横木を怖がらなくなるまで何回か通過させて下さい。おそらく2,3回もしたら平気になると思います。
次に普通の調馬索での速歩をしながら横木を通過させます。
この時の調馬索も以前にお話ししたコントロールされた状態での調馬索で行う事が望ましいのでサイドレーンを装着して行う事をおすすめします。
横木は3本ぐらいが良いでしょう。
索者は半径5m程の楕円形を描きながら横木の真中に馬を誘導するように横移動して馬をコントロールします。
始め横木の距離は1.2m程度で行います。スムーズに誘導する事や、通過する事が出来るようになったら駈歩で通過させます。
手前に踏切用として地上横木を置き2.5m程度の距離で30cm程度の高さのクロス横木(または垂直横木)を設置します。
速歩の時と同じように速歩で誘導して駈歩で跨がらせます。
おそらく始めは速歩で通過してしまうと思いますので少し追い鞭を立てて馬に見せながら舌鼓を使って駈歩になるように促しましょう。
上手に駈歩で飛び越えるようでしたら横木を40~60cm程度まで上げても問題無く飛んでくれるでしょう!
ここまで調馬索でスムーズに出来るようなら次は騎乗して行います。
乗り手は、横木を通過する際の馬の動きの変化にバランスを崩さない様に出来るだけ自分の重心を低く保ちふくらはぎをしっかり馬体に着けいつでもしっかり推進できる腰の構えが出来ていること、
拳も余計な動きをしないで馬の口と軽いコンタクトが継続して保たれている事が重要です。
馬が落ち着いて横木をしっかり覗き込むに跨ぐようでしたら横木に高さを付けます。
横木の距離は馬によって多少違いますので横木と横木の中央に締の跡がくるように調整して下さい。
始めは片側を交互に上げて馬が肢をしっかり高く上げて跨ぐようでしたら両側高さを付けても大丈夫でしょう。
この様な運動では、乗り手は馬がハミを下方へ取るように譲りながらゆっくりのペースをつくってやることで馬は大きな歩幅と高い肢のさばきと滑らかで柔らかなリズムとバランスを学習すると共に、項~首~背~腰~尻までのトップラインを鍛える事となります。
この身体造りがどんどん更なる調教を楽なものにしていきます。
平成29年4月
長谷川 雄二
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