基本の動作【~馬にたずさわる人全てが調教者~27】
前回までの基本姿勢が安定して取れるようになり、バランスも崩すことなく個々の動作が出来るようになったら3種の歩法でしっかりした図形を描いたり色々な動作を行ったりする為の実践的動作に入って行きます。
前回までのハミ受けで前後のしなりは多少なりとも感じることが出来たのではないかと思います。
この前後のしなりは馬体の伸縮やバランスバック、起き上がりに必要な体の使い方を苦しい思いをすることなくラクに実施するためのものです。
この前後のしなり状態がなければ推進動作は効きが悪く重い馬になります。また真直性に乏しく歪んだ馬になってしまいます。
ですからまずはこの前後のしなりが必ず必要なのです。
次に必ず必要になるのは左右のしなりです。これは馬が正確に美しい図形を無理なく描く為の体の使い方の基本となるものです。
この左右のしなり運動をさせるために騎手は内方姿勢を取りながら運動内容により各部位ごとに力の強弱を使い分けることで色々なパフォーマンスが出来るのです。
内方姿勢の形とは・・・長鞭を馬の体と考えて下さい。その長鞭に股がっているのが騎手であるあなたです。
持ち手である太い方が頭で細い方がお尻の方です。
この長鞭を股がったまま横へしならせるためには外方側の頭に近い部分とお尻に近い部分を押さえ壁を作った状態で内方側の真中近くを外方方向へ押し出すことで長鞭はしなるでしょう。
これが馬体を左右へしならせるための内方姿勢です。
●方の受けを崩さないようにして拳を下げひじを体と一体にしてしっかり抑えます。
●肩の横ラインは馬の肩ラインに合わせます。
●腰の横ラインは馬の腰ラインに合わせます。
●外方の脚は太ももと膝の位置を下げながら後方へ引きます。
●内方の拳も軽く手綱を握りながら、手の平をやや上に向けひじを折るように構えることで馬の顎を譲らせている状態を作り、さらにひじをわずかに引く事で馬の首を内方に向けます。
●内方の脚はかかとの位置がお尻の後のラインを越えて後に行かないように保ちながらしっかり馬体に付け、内側から外側方向へ押し出すように脚を使います。
以上が内方姿勢の形です。
この形を取りながらでもふくらはぎと坐骨は常に前方向へ推進が効いていなければなりません。
平成30年11月
長谷川 雄二
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