馬術入門(12)【~馬にたずさわる人全てが調教者~70】
以前にもこのブログで取り上げた事がありますが、もう一度調教の意義についてお話したいと思います。
乗馬から馬術にレベルアップする事は、馬が本来自然に持っている能力を引き出しその能力を無理なく最大限に発揮出来るように、それぞれの運動による段階を踏みながら、その運動に必要な柔軟性や筋力、身のこなし方、馬自身が持つ恐怖心に打ち勝つ為の精神力を付けながら運動に対する意欲を引き出してやることが最も重要です。
その為に調教者は出来るだけ多くの時間をその馬と関わることで、馬が今何を考えていか、真実を少しでも理解できるようになる努力をしながら時間を過ごして下さい。
もちろん馬の好きな砂糖や人参で関係性を構築する事でスムーズにあなたを受け入れてくれやすい状況を作ることが大切です。
あなたがその馬の ”痒いところに手が届く存在” になることで、その馬もあなたが何をするか、何を望んでいるか、何をしたら良いか、あなたの事を観察して受け入れるようになってきます。
それが馬との信頼関係の始まりです。
手入れや馬装の時から馬が気持ち良くあなたの動作を受け入れている中で作業が流れて行くようでなければなりません。
その馬が調教者の動作に対しどの様な反応をしているのか?
・怖がっているのか
・受け入れているのか?
・混乱しているのか?
・要求を理解しているか?
・やろうとしているか?
・反発しているか?
・逃げようとしているか?
・苦しいか?
・苦しくないか?
・出来る様になるだろうか?
・出来ないまま混乱と反発が増すか?
あなたの指示通りに馬が反応してくれなかったとしてもいきなり馬を叱るようなことはしないで下さい。
あなたは正しい動作、教科書通りの方法で指示をしたとしても、馬が正しく反応しなかった理由は山程有ります。
馬自身がその運動が出来るレベルに達していない・騎手の扶助に集中していない・馬がその扶助を解っていない・その運動をするための筋力、体力、柔軟性、持久力が無い・騎手の扶助が適切でない・あなたの動作に気配りがなく馬が怖がっている。
馬が原因だとしたら、どの様なことが考えられるのか?あなた自身が原因としたらどの様なことが考えられるのか?レベルが高ければ高いほどその原因となることはわずかな動作の誤りである事がほとんどです。
人が動作する事で馬は ”何をすれば良いのだろう” と一生懸命反応してくれています。
あなたが望む運動はどの様なもので、その動きを馬にしてもらうためにあなたはどの様な動きをしたら良いのかをしっかり掘り下げて考え動作して一つ一つの運動を完成させて行って下さい。
令和4年7月
長谷川 雄二
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