馬術入門(24)【~馬にたずさわる人全てが調教者~82】
何をしたら良いのか、迷いと不安でいる時にいきなり馬がさぼっていると判断され叱られた馬は、自分の態勢も準備も指示されていない状態でどんな運動をしたらいいのか不安と不信感でストレスが貯まり、やがて動く事を拒むようになります。
こうなっても騎手は不充分なわけの分からない扶助で強引に何かをさせようとすれば、次は反発、反抗を始めます。
釈然としない騎手の動作に馬も業を煮やし、いきなり走ったり、立ったり、両肢で蹴ったり、使われた騎手の脚に反発して脚を嫌うように蹴って反発するようになります。
これは、レベルの高い正確な良い調教を受けた馬程顕著に表れます。
しかし、ここまでの反発なら嫌な事をされた時だけに起こる一時的反抗ですが、全く解っていないのにしつこく繰り返す初心者やインターナショナルクラスで経験豊富なレベルの高いはずの自信過剰な乗り手等に毎日のように騎乗されていると1〜2年で正しく調教されていたはずの運動もすることをしなくなってしまいます。
そんな馬は自らの身体を痛めてもなんとか答えようと無理な態勢で動いた結果、肢部に故障を発症したり、要求された運動をこなす為に必要な筋肉、特にトップラインと言われる馬が起揚してシナリのある動きをするために必要な項、背、腰尻の筋肉が極端に落ちてしまいます。
ここまで痛んでしまうと回復するまでに毎日の治療とケア、さらに、精神的なダメージも必ず存在します。
また、筋肉を取り戻すための運動を痛めてしまった時間、2年で駄目にしたのであれば実際に調教の出来る人が関って最低でもそれ(2年)以上は掛かってしまう事となってしまいます。
最悪は故障箇所、或は精神的部分の改善がみられず回復することができないことも考えられます。
ですから、騎手は常に勉強して正しい扶助を学んで実行出来るように努力しなければなりません。
知識や技術も無いけど今やっている動作 でいいのかな?そんな人がほとんどだと思います。
そんな時は馬の動きや精神状態をしっかり観察してください。
・動きが硬くないか?
・苦しそうにしていないか?
・馬体全体のシナリは一定か?
・ハミにまっすぐ出ているか?
せめてこのぐらいは確認して下さい。
令和5年7月
長谷川 雄二
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