馬術入門(16)【~馬にたずさわる人全てが調教者~74】
前回までのお話しで馬から教わる事の重みを少しでもご理解頂けたでしょうか?
馬を踏み台にして色々な事を経験させてもらっているのです。
ですからあなたは常に正しい知識を持って、その正しい事をするための動作ができるようにイメージ創りと身体作りをして行く努力をしていなければその馬の価値を日々落として行っているのです。
馬の価値を落とすことは簡単に出来ますが、調教によってその馬の価値を高める事は多くの手間と時間と人馬の努力が必要です。
馬術を志すあなたは、自身の今のレベルを知り、その2つ上程度のレベルの馬で馬から学びながら共に成長して行く事をお薦めします。
トレーニングの話に戻ります。
1日の運動の始めから終わりまでの流れについての基本的な考え方と具体例のお話しです。
これからお話しする事は、馬乗りとして常識的なことです。
[そんなこと解ってるわ!] と言わずにもう一度振り返ってみて下さい。
偉くなったあなたはやたらと馬を叱っていませんか?
人任せにしていませんか?
流れ作業的になっていませんか?
まず馬を馬房から出し馬繋場へ繋ぎます。*この時からすでに馬との関係性が始まっています。
あなたはズケズケと馬の縄張りに入っていきませんでしたか?
何か馬の喜ぶ物を持っていきましたか?
無理に馬房から引き出そうとしませんでしたか?
曳馬の際馬と一緒に歩きましたか?
人は角砂糖の一つでも持って、名前を呼ぶとか声を掛け馬があなたに関心を持っている状態を作りながら無口を掛けます。
人は知らん顔して長く持った曳手でさっさと前を歩いて引っ張るのではなく、馬の肩の横辺りにつき一緒に歩くように仕向ける事です。
これがコミュニケーションの始まりです。
馬繋場での手入れも淡々と作業をこなしながらでも馬の動作を見て痒い所、痛がっている様子はないか等を見て対応出来なければなりません。
片方の手は必ず素手で馬体の至るところを触りながら細かい傷やらデコボコや痛みや熱が無いかを毎日の騎乗前の手入れで習慣的に実行して下さい。
馬も痛いところに気付いてくれる人を信頼して頼って来るようになってきます。
私は子供の頃、床屋さん(✂️💈)古い言い方かな、散髪屋へ行くと顔を熱いタオルで拭いてもらうことがとても好きでした。
馬も気持ち良さそうにしているので私と同じ様に感じているのではと毎回乗る前には顔を拭いてあげています。
あなたも何か気持ち良いと感じている事があったら馬に試してみて下さい。
ちょっとしたマッサージやらストレッチ、ブラッシングでもわずかな時間でよいので、それ好きと表現してくる事があるかもしれません。
これはとても大切な事です。
馬のあなたを見る目が変わってくるかもしれません。
令和4年11月
長谷川 雄二
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