乗馬体験に体重制限はある?馬の体重の20〜30%が目安って本当?
やってみたい気持ちはあるものの、「体重制限」が気になる方も多いのではないでしょうか。
子供が乗るのはまだしも、大の大人が乗っても体重による馬への負担は無いのか。
あの細い脚で体重に耐えられるのか。など心配になってきますよね。
そこでこの記事では、乗馬と人間の体重の関係について詳しく解説していきます。
この記事を読むことで乗馬に関する体重についての様々な疑問を解決することができます。
POINT
・乗馬に体重制限はあるのかどうか
・馬に負担がかかりすぎない理想的な体重はどのくらいか
・競馬や馬術競技に挑戦したい人の理想体重はどのくらいか
乗馬に体重制限はある?
結論から言うと乗馬に体重制限はあります。
しかし、具体的な数値については乗馬クラブや観光地によって様々です。
また、体重制限はそこまで厳しいものではなく多くの方はクリアしていると言ってもいいでしょう。
ここからは乗馬の体重制限について詳しく見ていきましょう。
より理解しやすいように騎乗する馬の種類ごとの具体的な数値も計算しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
馬の種類と平均体重
乗馬の体重制限は、馬の品種やその馬の体重に関係しています。
まずは、馬の種類とその平均体重について知っておきましょう。
ここでは日本で乗用馬として飼育されている数の多い「サラブレッド」「クォーターホース」「ポニー」について、概要とそれぞれに騎乗する場合の体重制限を紹介します。
サラブレッド
サラブレッドは競馬で活躍している品種です。
競馬での活躍が終わった後は、リトレーニングを行い乗用馬として転身するケースがほとんどです。
乗用馬として最も多く使われている品種として知られています。
サラブレッドの平均体重は470キロです。
クォーターホース
クォーターホースは世界中で最も飼育数の多い品種です。
筋肉質な体形が特徴で、400メートルほどの短い距離での競走ではサラブレッドよりも速く走ることができます。
クォーターホースの平均体重は400キロです。
ポニー
ポニーとは体高が147cm以下の馬全般を指します。
騎乗できるポニーとしては「北海道和種」「ハフリンガー」などが有名です。
ポニーの平均体重は200キロです。
馬装を含めて馬の体重の20〜30%を目安にするのが一般的
乗馬では一般的に馬の体重の20〜30%以内であれば馬に大きな負担とならないとされています。
この20〜30%には人間の体重だけでなく鞍などの馬装も含まれます。
ちなみに乗馬用の鞍の重さは総合鞍が9キロ前後、ウエスタン鞍が12キロ前後、エンデュランス用などの軽量鞍が6キロ前後です。
また、鞍の他にも鐙・ゼッケン・ブーツ・ヘルメットなどの重量も考える必要があり、それらの重さは合計約2キロほどとなっています。
これらのことから馬の種類ごとの積載量(人間+鞍+その他馬装)の目安は
- ・サラブレッド(軽種):94~141キロ以下
- ・クォーターホース(中間種):80~120キロ以下
- ・ポニー:40~60キロ以下
となります。
この数字を見ると馬はとても力持ちなのを感じますね。
ただし、25%以上からは個体によって負担がかかりすぎている場合があるので注意が必要です。
馬の体重の30%を超えた場合の負担は?
もし馬の体重の30%以上の人が乗ると、馬に大きな負担がかかってしまいます。
疲労や背中の痛み・脚の故障などに繋がってしまいますので、馬のウェルフェアのためにも馬の体重の30%以上の方は騎乗を控えるようにしましょう。
また、乗り方によっては制限体重以下の人でも体重以上の負担をかけてしまう場合があるので注意が必要です。
競馬の騎手や馬術競技の選手の理想体重
ここまで乗馬と体重の関係について解説してきました。
次は競馬の騎手や馬術競技の選手などの理想的な体重について紹介します。
競馬の騎手の理想体重は馬の体重の10%未満!
競馬の騎手は馬の体重の10%未満が理想です。
具体的には47キロ未満程度が理想体重です。
競馬は主に持久力やスピード・瞬発力を競うものであるため、騎手の体重は軽ければ軽いほど有利です。
そのため競馬の騎手は厳しい体重管理をしてレースに臨んでいます。
競馬の騎手となるために必ず卒業しなければならないJRA競馬学校騎手課程では、入学条件の一つとして体重の制限が求められています。
JRA競馬学校入学のための体重制限は
- ・19歳:48キログラム以下
- ・18歳:47キログラム以下
- ・17歳:46キログラム以下
- ・16歳以下:45キログラム以下
となっており、かなり小柄な人だけが入学できるといった印象です。
また、JRA競馬学校入学後もこのくらいの体重をキープする必要があります。
馬術競技に挑戦したい人の理想体重は?
馬術競技では馬の体重の10〜20%ほどの体重が理想的です。
具体的には45キロから90キロ程が理想体重です。
馬術競技において、障害飛越や馬場運動など馬の高度なパフォーマンスを引き出すためにはある程度の軽さが必要です。
その一方で、体重の重さを武器にしている選手もいます。
比較的体重がある選手は強力な推進力を生み出すことができ、ここぞという場面で馬を後押しできる強みがあります。
乗馬施設やクラブでの体重制限
乗馬施設や乗馬クラブでは多くの場合体重制限が設定されています。
具体的には90キロ以下を体重制限の目安にしている乗馬施設や乗馬クラブが多いです。
体重制限を設ける理由
ではなぜ乗馬施設や乗馬クラブは体重制限を設けるのでしょうか。
理由は2つあります。
まず1つ目は騎乗者の安全を守るためです。
体重の重い方が乗ると馬は普段よりもストレスを感じてしまいます。
また、少しバランスが崩れただけで馬がビックリしてしまうなど、普段よりも馬が敏感になり落馬などの事故に繋がってしまう危険が高くなります。
2つ目は馬の負担が大きくなるからです。
乗馬クラブの馬は多くの場合一日に複数回お客さんを乗せます。
しかし、体重の重い方を乗せると一度の騎乗で体力を多く使ってしまい、お客さんを複数回乗せることができなくなってしまいます。
そのことから馬の負担を少しでも軽減するためにも体重制限を設けているのです。
クラブによって多少の違いも。事前に確認しましょう
乗馬クラブによって体重制限は様々です。
90キロより重くても大丈夫な乗馬クラブもあれば、制限体重を70キロに設定している乗馬クラブもあります。
少しでも体重に不安のある方は事前に確認することをおすすめします。
多くの場合はホームページに体重制限が記載されています。
もしホームページが無い場合や記載されていない場合は電話やメールで確認してみましょう。
体重以外の制限は?
乗馬施設や乗馬クラブには体重制限以外にも様々な制限があります。
例えば以下のような制限が挙げられます。
- ・幼すぎる、高齢すぎるなどの年齢による制限
- ・安全に騎乗できない可能性がある障害や持病による制限
- ・スカートやだぼついた服などの事故につながりやすい服装のの制限
このように安全に乗馬を楽しむために多くの制限が設けられています。
一方で、「小学生未満向けの乗馬教室」や「高齢者向けの乗馬教室」「障害者向けの乗馬教室」など、安全に配慮された環境で騎乗する機会も多くあります。
ご自身に合った教室を見つけてぜひ参加してみてください。
乗馬は体重が軽い方が上達しやすい?
ここまで乗馬の体重制限や体重が重いことによるデメリットなどを中心に解説してきました。
ここまで読むと乗馬において体重が重い人は不利で体重が軽い人の方が有利で騎乗技術が上達しやすいように感じてしまいますが、本当に乗馬において体重が軽い人は重い人に比べて優れているのでしょうか。
結論から言うと体重が軽いからと言って優れているわけではありません。
なぜなら体重が軽い人・重い人どちらにもそれぞれメリット・デメリットがあるからです。
ここからは、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
体重が軽い人のメリット・デメリット
体重が軽い方のメリットは2つあります。
1つは馬への負担が少ないことです。
馬の脚の故障や背中の張りを抑えることができます。
2つ目は馬がパフォーマンスを発揮しやすいことです。
騎乗者の体重が軽いことで障害飛越であれば高く飛ぶことができ、エンデュランスであれば長時間走ることができます。
一方で体重の軽い方のデメリットは大きな馬に乗りにくいことです。
ある程度大きな馬を動かすには体重による扶助が必要となります。
そのため体重が軽いと大きな馬に上手く乗れない原因になる場合があります。
体重が重い人のメリット・デメリット
体重の重い方のメリットも2つあります。
1つは強い推進力を生み出せることです。
体重の重い方は脚による推進の他にシートによる推進力を与えることができます。
そのため障害前で止まりそうになる時や逃げられそうになる時に「馬をあと一歩押す」ことができ、そのような場面で体重が軽い人より有利になります。
2つ目は体重移動による馬への指示が明確にできることです。
乗馬を少し続けていくと体重移動による加速や減速、左右への誘導などを覚えてきます。
その際に体重の重い人はより明確に指示を伝えることができ有利に働きます。
一方で体重の重い方は馬の負担が大きくなるというデメリットがあります。
そのため馬に騎乗した後にはしっかりとしたケアをすることが大切です。
まとめ
この記事では体験乗馬で気になる乗馬と体重の関係性について詳しく解説してきました。
体重に関する悩みは解消しましたでしょうか。
この記事の大切なポイントをまとめると以下のとおりです。
この記事のポイント
・30%を超えると背中の痛みや脚の故障に繋ってしまう
・体重が重い人と体重が軽い人のどちらともにメリット・デメリットがある
・乗馬クラブでは様々な制限が設けられているため事前の確認が必要
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