馬装解除の手順をマスターしよう!
馬に乗り終わったらそれで終わりではありません。
乗る前に馬装をしたのと同じように、乗馬を終えたら馬装解除をします。
馬装の解除にも手順やポイントがあります。
場合によっては馬に不快な思いをさせてしまうこともあるので注意が必要です。
この記事では、馬装解除について初心者の方にも分かりやすく解説します。
この記事で分かること
・馬装解除の方法・手順
・馬装解除のポイント
「馬装(ばそう)」とは?
馬装(ばそう)は「馬に乗るために必要な馬具を装着すること」と思われがちですが、それだけではありません。
馬に乗るための準備ということで、騎乗前のお手入れも馬装のうちに入ります。
馬装を具体的に行うために、まず蹄の裏に詰まってしまったボロやオガクズなどの汚れを鉄皮(てっぴ)を使って裏彫りをします。
その後、ブラッシングをします。
ブラッシングは毛並みを整えるだけでなく血流もよくなることから、馬も喜び、馬と人とのふれあいの時間です。
馬の体がきれいになったら、プロテクターをして鞍を乗せる準備をします。
鞍を乗せる前に、ゼッケンやゲルパッドを乗せます。
そして鞍を乗せて腹帯をしめます。
最後に頭絡を付け、正しく馬装ができたか確認し、馬装完了です。
馬装解除の方法・手順
騎乗後は馬装を解除します。
馬装をする際にも手順があったように、馬装解除にも手順があります。
ここからは馬装解除の手順を具体的に説明します。
解除の手順は乗馬クラブによって違う場合もあります。
初心者だけでの馬装解除は思わぬ怪我や事故につながる場合もありますので、不安な方は必ずクラブのインストラクターに確認しましょう。
また、馬装解除するときには、騎乗が終わったからといってもまだヘルメットは外しません。
馬が虫を追い払うため等で突然足を動かすことがあるので、ヘルメットは着用したまま馬装解除を行います。
手順1 - 馬を洗い場につなぐ
レッスンが終わったら、馬を洗い場まで連れてきます。
そのとき、頭絡を外したあとには無口が必要になるので、無口が近くにあることを確認しておきます。
頭絡を外すために手綱を馬の首にかけます。
慣れている方は洗い場に入ったら馬をつなぐ前に頭絡を外して無口を付けることができる場合もありますが、馬の動きに慣れていない方や無口を付けるのに手間取ってしまう方は、馬が自由になる時間をなるべく少なくした方が良いでしょう。
手順2 - 頭絡(とうらく)を外す
早速頭絡をはずします。
まずは鼻革を外し、そのあと喉革を外しましょう。
頭絡を外した後に無口が必要になるので手元に用意しておきます。
馬が逃げないように手綱を背中に残したまま、頭絡を耳から外します。
頭絡を取ったら、すぐに手元に用意していた無口を付けることが重要です。
無口を付けたら、手綱を首から降ろして洗い場に繋ぎます。
使い終わった頭絡は畳んで、決められた場所においておきます。
手順3 - 鞍(くら)、ゼッケンを外す
次に鞍です。
鞍を外すためには、腹帯を片方外してあげます。
片方を外したままだと鞍を外すときに馬や人に当たったり、引きずってしまうことがあります。
腹帯を鞍に乗せるか鞍から外してしまうことがポイントです。
鞍を外すときには、鞍だけでなくゼッケンやゲルパッドも一気に外します。
外すときにはき甲を傷つけないように持ち上げて外しましょう。
馬装のときもそうですが、もし馬の背中が高くて外すのが大変な場合は、台を使うと比較的楽に鞍の上げ下ろしができますよ。
手順4 - プロテクターを外す
そしてプロテクターを外します。
外したプロテクターは馬や人が踏んでしまったり、躓いてしまったりしないように、安全な場所においておきましょう。
また、後ろ足のプロテクターを外すときなどは、馬が急に脚を上げたりすることもあるので注意が必要です。
しゃがみこみすぎないように、いつでも動ける体勢で外してあげましょう。
特に虫の多い季節は、馬が虫を嫌がって足を上げたり蹴る可能性もあるので要注意です。
ここまでできたら、忘れずに馬にお水をあげましょう。
手順5 - 馬の体のお手入れをする
砂埃の中、汗をかきながら馬場で運動をした馬の体は汚れています。
また老廃物として垢やフケが蓄積されていることもあります。
運動後はお手入れをしてあげましょう。
具体的には「馬体のお手入れ」と「蹄のお手入れ」です。
馬体のお手入れ
まず馬体をきれいにするためにはブラッシングが必要です。
使うブラシもいくつか種類があるので覚えておきましょう。
まず、根ブラシで馬の体についている大きなゴミを落とします。
次に毛ブラシを使って頸から背中・お腹・腰・お尻・肢といったように前から後ろにブラッシングします。
馬に近い方の手を馬に触れながら、反対の手でブラッシングしてあげると馬は安心します。
ブラッシングは血流がよくなり疲労回復やマッサージ効果が得られる一方で、苦手な馬もいます。
馬によっては「お腹だけ苦手」という馬もいます。
声をかけ、馬を観察しながら馬とのふれあいとしても楽しみましょう。
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蹄のお手入れ
蹄のお手入れとして裏彫りをします。まず左前肢から行います。
馬のお尻の方向を向いて立ち、馬の足を上げます。
テッピを使ってV字型の蹄叉のふちをVを書くように汚れをかき出し、その後円周をぐるっとテッピでなぞるように汚れをとります。
終わったらゆっくり肢を下ろします。
次に右前肢、左後肢、右後肢の順できれいにします。
関連記事:なんのためにつける?蹄鉄の役割
汚れや汗がひどい場合や夏バテ気味のときには丸洗いを
もし、汚れや汗がひどい場合や、暑くてバテているときには丸洗いをしてあげます。
丸洗いはシャンプーを使わず水かぬるめのお湯で洗ってあげる方法です。
夏バテ気味で体温を下げたい時でも冷水は避けます。
水をかける順番は心臓の負担を考えて心臓から離れている足元からかけていき、徐々に上にあげていきます。
鞍やゼッケンが乗っていた場所・腹帯が当たる場所、後脚の付け根や股などは汗がたまりやすい場所なので念入りに洗いましょう。
洗ったあとは汗こきで水をきり、しっかり拭いて乾かしてあげることも忘れずに。
馬装解除のポイント
初心者の方は、馬装解除に慣れるまでは手順通りにやることに必死になってしまうかもしれません。
でも、馬装解除にもポイントがあるので覚えておきましょう。
そうすると馬への負担も少なく、人間も少し余裕が持てて、お互いにとっていい時間になりますよ。
乱暴にせず、優しく丁寧に
人間は他人に身を任せることは少ないですが、乱暴にされたら不快感を感じますよね。
例えば美容室をイメージしてみてください。
丁寧にシャンプーやカットをしてくれたり、優しく髪を整えてくれると気持ちいいですし、相手のことも信頼できますよね。
反対に乱暴にシャンプーをされたり、引っ張られるように髪をとかされたりすると痛い思いをしたり、嫌な気持ちにもなります。
相手に対しては文句を言いたくなることもあるでしょう。
馬だって同じです。
馬装や馬装解除は馬とのコミュニケーションの場でもあります。
馬の気持ちになり、手早く行うことに集中するあまり雑にならないよう、優しく丁寧に行いましょう。
特に頭絡を外すときには馬はハミを噛んでいるので、乱暴に外すと嫌がってしまうことがあります。
最初は「頭絡を外したら逃げてしまうかも知れない。素早く無口を付けないと。」という焦りがあるかもしれませんが、落ち着いて行いましょう。
鞍はできるだけ持ち上げて外す
鞍を外すときのポイントは「ゼッケンごと持ち上げて外すこと」です。
理由はき甲を傷つけないためです。
き甲は馬の首と背中の境にある膨らんだ部分で、幼少期の頃はあまり目立ちませんが、大きくなってくるとはっきりとわかるようになります。
き甲は馬の体の作りからも運動中は活発に動く部分なので、鞍を装着するときにも傷つけないように気を付けなければなりません。
それと同様に鞍を外すときにも注意が必要です。
具体的にはき甲を鞍で擦らないように鞍は持ち上げて外します。
人間だって擦り傷は痛いもの。馬のためにも気を付けましょう。
もし、鞍を外すのが大変な場合は、台を使うのも一つの方法です。
馬装を解いたらお水をあげる
馬装を解いたらお水をあげるのを忘れずに!
馬も運動後は喉が渇いているはずです。
「喉が渇いたよ」「お水、ちょうだい」と言えない馬だからこそ、馬の立場で行動してあげましょう。
特に暑い時期は馬も人間も熱中症の心配があります。
熱中症は死に至ることもあるので特に注意が必要です。
鞍や馬具のお手入れも忘れずに
馬装を外し終わっても、実は「これで完了!」ではありません。
使った後の鞍や馬具のお手入れも必要になります。
特に湿気の多い梅雨の季節は、馬場がぬかるんでいることが多く馬具も汚れやすくなります。
そうすると革が水分を含んで形が崩れたり、色移りしやすくなったりします。
また、鞍にカビが生えてしまうこともあるのです。
鞍や馬具はこまめにお手入れし、その後は日陰で風通しの良いところで保管しましょう。
関連記事:梅雨時期の馬具のお手入れについて
まとめ
乗馬は馬がいなくてはできません。
運動後はパートナーとしてがんばってくれた馬に感謝の気持ちも込めて、丁寧に優しく馬装解除をしていきましょう。
解除の順番は頭絡・鞍・プロテクターを外して、馬のお手入れと馬具のお手入れをするところまでです。
馬のお手入れに関しては、ブラッシングを嫌がったり、丸洗いの水を怖がる馬もいます。
馬の様子を観察しながら行いましょう。
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