馬術入門(28)【~馬にたずさわる人全てが調教者~86】
前回の運動の流れである準備運動は、毎回同じような手順を踏む必要がありますが、
馬が元気で後肢がしっかり動く様なら、この準備運動にかける時間や回数は大きく減らす事が出来ます。
この先の運動の組み立ては、馬或いは騎乗者のその日の健康状態、動き、やる気、精神状態に応じて運動の順序や質、量、重点項目をどこに置くかを考慮して、臨機応変に色々なパターンを試して下さい。
まんねりにならないように時々変化をつけて行う事も必要でしょう。
あくまでも馬の状態を正確に把握して徐々に難易度を上げて行けるように段階を踏みながら運動を組み立て行って下さい。
準備運動後にやるべき事は、前後、左右の柔軟運動です。
具体的には、前後の柔軟では、できるだけ手、腕を使わずに脚をメインに行う停止、後方推進による後退、明確な前方推進による発進です。
左右の柔軟では、しっかり外方のハミを受け、内方の顎を譲り馬体全体を左右にしならせた上、直線と円運動を大きい円から小さい円、円と円の間は長い直線から短い直線、円の切り替え、連続の円等を前後左右の動きを混ぜ合わせながらランダムに図形を描いて運動を組み立て行きます。
次に伸縮運動を行います。
伸縮に入る事をスムーズに行う為には、肩内の運動が最も有効な手段です。
外方の肘と外方の脚でしっかり外方に壁を作ったうえで内方脚でプッシュすることで内方の後肢を進行方向へしっかり踏み込ませます。
馬体は真っ直ぐを意識して、右肩内であれば頭を1時の方向へ向けます。
左肩内であれば11時の方向です。
ベントを意識して頭だけを向けないように注意して下さい。
続きは、次回に
令和5年11月
長谷川 雄二
このページをシェアする