馬は人間をどう思っている?もっと知りたい、馬の気持ち
乗馬をしていると、馬との距離感が縮まったと思った次の瞬間に「やっぱりそうでもなかった…」とがっかりすることはありませんか。
そういうところが馬の魅力でもあるのかもしれませんが、馬の気持ちが分かればもう少しうまく乗ってあげられるのにと思いますよね。
言葉は話せませんが、馬は体を使って人間に語りかけているようです。
パートナーのメッセージに気づけるように、是非この記事を参考にしてください。
この記事で分かること
・馬は人間の表情を見分けられる
・馬の気持ちが表れるところや仕草
・馬の顔や鼻の豆知識
ずばり、馬は人間をどう思っている?
すばり、馬が人間をどう思っているかは分かりません!
人間でも相手の気持ちは分かりませんよね。
馬が相手でもそれは変わりません。
ただ、現代に生きる馬は人間から餌をもらったり、人間に世話をしてもらわないと生きていけないため、パートナーであるという認識はあるのかもしれません。
馬が人間をどのように思っているかのヒントになりそうな実験結果があります。
神戸大学では、馬が自分では解決できない課題に直面したときに、どうしようとするのかを研究しました。
ニンジンの入ったバケツを馬の届かないところに置いて、人間が馬の前を通ったときにどのような反応を示すか観察しました。
その結果、馬は人間に対して近くにとどまり、人間を見つめたり、軽く押したりしてシグナルを送ってくることが分かったのです。
自分ではニンジンを取りに行けないので、人間に取ってほしいとシグナルを送っていたのです!
さらに、ニンジンの入っているバケツのことを知っている人間と知らない人間に対して、どのような反応をするかも観察しました。
すると、ニンジンのバケツがあることを知っている人に比べて、知らない人に対しての方がシグナルを多く送ることも分かりました。
おそらく、馬は群れの中でも同じようなコミュニケーションをとっているのではないかと考えられます。
この結果からも、人間のことを仲間だと思ってくれているのではないか、と期待したいですね。
馬は人間の表情を見分けられるって本当?
馬は社会性の高さを対人間でも発揮しているようです。
人間の表情を読むことができるとの研究結果もあるんですよ。
イギリスのサセックス大学では、馬に男性の笑顔と怒った顔の写真を見せて反応を観察しました。
すると、怒った顔の写真に心拍数上昇などの反応をすることが分かりました。
また、怒った表情の写真を左目で見ていることも発見。
馬はネガティブな情報を右脳で処理するのだそうです。
そのため、右脳につながっている左目から情報を得ているのだとか。
馬は群れの中で生きていくために、別の馬の怒った表情に敏感に反応する必要はあったが、それ以外の場合は自分には危険が及ぶ可能性がないため、人の笑顔の写真にも脳が反応しないのではないかと考えられています。
また、北海道大学の研究では、怒った顔の写真を見せながら褒める声を流したり、笑顔の写真を見せながら怒った声を流したりして馬の反応を見る研究をしました。
写真と声がミスマッチだった場合、馬の反応が1.6〜2倍も速かったそうです。
これは表情と声の組み合わせに違和感があったからではないかと分析されています。
馬は声でも人間の感情を読み取ることができるんです。
馬の気持ちを知るには、馬の体をよく観察!
馬はこんなに人間の表情をくみ取ってくれるのに、人間はなかなか馬の感情を理解できないですよね。
馬は感情の豊かな動物です。
実は体の部分に少しずつ、シグナルを出しています。
馬たちと仲良くなるには、それを人間側がくみ取ってあげるのが早道です。
馬の気持ちを知るために。チェックするべき場所と仕草
それでは、馬が感情を表現するときに動かしたり、反応したりする体の部分はどこなのでしょうか。
どのような気持ちをどこに現わすのか、チェックすべきところを一つずつ紹介します。
耳
馬の耳を見れば、ある程度の感情は把握できるはずです。
馬は目があまりよくなく、色も人間と同じように見えるわけではありません。
そのため、よく発達した耳から周囲についての情報を得ています。
耳があちこちに動いているときは不安な気持ちになっているときです。
不安なため、少しでも付近の情報をたくさん得ようとして耳を動かします。
気になるものがあるときは、そちらに向かって耳をピンと向けます。
これも「何か分からないもの」の情報を集めようとして、そちらに耳を向けている状態です。
機嫌の良し悪しも耳である程度、分かります。
馬が耳を伏せているときは要注意。
不機嫌になっているので不用意に近づかない方がいいでしょう。
リラックスしているときは耳の力も抜けています。
目
目も表情豊かです。
ウトウトしている馬の目は人間同様に細くなります。
リラックスしている証拠です。
ブラッシングなどで気持ちがいいときも目を細めます。
逆に怒っているときやびっくりしているときは目を見開きます。
基本的には人間と同じかもしれません。
鼻
鼻も馬の感情がよく表れるところです。
おやつをあげようとすると、鼻を伸ばして「ちょうだい」とせがんできます。
さらに鼻を左右に細かく振るわせて擦りよせて、「もっとほしい」と甘えてくることも。
ブルブルと鼻を鳴らして、催促することもあります。
ブラッシングをしていて気持ちがいいときには鼻が脱力して、さらに長くなるでしょう。
びっくりしたときには、目を大きく見開き、鼻も大きく膨らみます。
口
口で最も顕著なのはフレーメンでしょうか。
上唇を鼻に押し当てて、臭いを嗅ごうとする生理反応ですが、笑っているように見えます。
野生では異性の尿の臭いをかぐときに起きていた生理現象です。
初めて嗅いだ臭いや好きな臭いでフレーメンすることが多いイメージがあります。
また、馬が口をくちゃくちゃと噛んでいるような仕草は「チューイング」と言って、状況を理解しようと考えているときにみせるものです。
この仕草をみせた馬には少し時間をあげて、納得してもらったうえで次の行動に移りましょう。
馬が歯ぎしりをするときは、イライラが溜まっている状態です。
たまに騎乗中に歯ぎしりする馬もいますよね。
何がイライラさせてしまっているのかを考えてみましょう。
仔馬や若い馬は成熟した馬に対してカチカチと歯を鳴らすことがあります。
これは「クラッキング」と言って、相手に対して「自分はまだ子供で、あなたに危害を加えることはありません」と伝えているボディージェスチャーなんです。
ちなみに リラックスしているときは口も力が抜けます。
下唇が脱力して、伸びている馬をみるとこちらも癒されます。
尻尾
尻尾にも注目です。
この時期であれば、虫を払うために尻尾を振っていることが多いでしょう。
しかし、嫌なことをされたときに耳の次に表情が表れるのが尻尾の馬も多いのではないでしょうか。
例えば、ブラッシングが苦手な馬はブラッシングしているときに耳を伏せ気味にしながら、尻尾を振るイメージがあります。
また、敏感な馬に乗っているのに扶助が強くなってしまったときも、尻尾を振って訴えてくることも。
興奮をすれば、尻尾が付け根から上に上がってきます。
基本的に、何かが不快なときに尻尾を振って訴えています。
その他
前肢で地面を掘ろうとしているような仕草を前掻きと呼びます。
前掻きは馬が何かを要求しているときや今している何かをやめてほしいとき、などに見られる行動です。
ただし、疝痛(腹痛)を発症したときにも見せることがありますので、要注意です。
馬が人間に対して、柔らかいタッチで軽く噛んでくるときは甘えています。
たくさんなでて、かわいがってあげましょう。
「グルーミング」といって、馬同士では信頼を示すために相手の背中を軽く噛みながら毛づくろいをします。
人に対しても、同じような行動をとっているのだとか。
ただし、たまに人にとっては強すぎる力加減で噛んでくる馬もいるので、気をつけましょう。
まとめ
正直に誠意をもって関係を構築しようとすれば、馬との間に信頼関係が生まれます。
人間をリーダーや信頼できる存在として、馬が認め始めたとき、それに人間が応えて初めて、関係性が強固になっていくのではないでしょうか。
最初は敵かもしれないと思われる存在から始まって、少しずつ信頼を得て距離感を縮めていけば、文字通り、言葉のいらない親友にも家族にもなれるはずです。
しかし、そのためには馬の気持ちを理解して、寄り添う必要があります。
いつも自分の都合を押し付けるリーダーには人も馬もついていきません。
馬の立場に立って、気持ちを理解しようとすれば、きっと馬も少しずつ信頼をしてくれるようになるはずです。
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