北海道の冬の風物詩。「馬追い運動」について
北海道の十勝地方で真冬に行われる風物詩の「馬追い運動」。
雪煙を舞い上がらせながら、運動場を疾走する重種馬はとても迫力があり、真冬の北海道ならではの風景です。
毎年たくさんの方がカメラを持って見学に訪れる写真スポットでもあります。
この「馬追い運動」がどんなものなのか、なぜ必要なのか、その秘密に迫ります。
この記事で分かること
・「相馬野馬追」って?
・「馬追い運動」をする理由
・「馬追い運動」を実施する時間と場所は?
「馬追い」とは?
「馬追い」とは、実際に馬を「追って」運動不足な飼育馬や妊娠している馬たちを運動させることです。
北海道の十勝にある家畜改良センターで、毎年1月〜2月にかけて行われています。
同センターの職員さんが騎乗している馬で馬たちを「追って」運動をさせます。
ここで暮らしているのは農耕馬のブルトン種やペルシュロン種などの重種馬。
中には1トンを超える馬もいます。
そんな大型馬が集団で雪を巻き上げながら走る姿はとてもダイナミック。
北海道の冬の風物詩としても有名で、馬追いが始まるとテレビや新聞で毎年、紹介されます。
「追う」というのは、人が馬に前に進んでもらえるように促すことを言います。
競馬でも「直線を一杯に追った」という使い方をします。
馬がスムーズに前に進めるように騎手がサポートしているという意味です。
馬は基本的にのんびりと草をはむ動物です。
敵が近づいてきた、大きな音がしたなどの異常がない限り、自ら全速力で走ることはあまりありません。
そのため、運動をしてほしい場合には、人間が「追う」作業が必要になってくることもあります。
歴史ある祭典、「相馬野馬追」について
「馬追い」と言えば、福島の有名な祭典に「相馬野馬追」があります。
1000年ほど前に平将門が実施した軍事訓練に由来している歴史あるお祭りです。
2023年までは7月の最終土・日・月曜日に行われてきましたが、夏の暑さによる人馬の健康状態に対する懸念を考慮して、2024年は5月の最終土・日・月曜日に行われました。
数ある行事の中でも、神事として行われている「野馬懸」は古来の姿を現代に伝えていると言われています。
野馬を放ち、相馬小髙神社に追い込んで、神様に奉納します。
野馬懸以外にも、野馬追には甲冑競馬や神旗争奪戦など戦国絵巻さながらに迫力のある行事も盛りだくさん。
3日間、馬のイベントが盛りだくさんなので、馬好きの方におすすめです。
往年の競走馬も参加しているので、競馬ファンも楽しめます。
「馬追い運動」について詳しくご紹介!
それでは、北海道で行われている「馬追い運動」について、さらに詳しくご紹介します。
馬追い運動をする理由は?
真冬の北海道は一面の銀世界となります。
馬たちも夏と比べて、どうしても行動範囲や運動量が低下してしまいます。
特に「馬追い運動」の行われる十勝地方は、北海道の中でも一気に大雪が降る「ドカ雪」で有名な地方。
馬たちも冬場はどうしても厩舎やパドックですごすことが多くなってしまい、運動不足になりやすいのです。
身ごもっている母馬たちにとって、運動不足は大敵。
お腹の子が大きくなりすぎてしまうと、難産になってしまう可能性が高くなってしまうのです。
馬の場合、胎仔が大きいと、お産時に肩や胸が産道で引っかかってしまい出てこれなくなったり、母馬の子宮の近くを通っている太い血管を傷つけてしまったりすることがあり、母子ともに命の危険にさらされます。
しかし、母馬は出産や授乳に備えて、栄養も蓄えなくてはならず、餌の節制はできません。
栄養を取っているのに、運動不足になってしまうと胎仔が過大になってしまう傾向にあるため、母馬たちを適度に運動をさせなくてはなりません。
馬の生産者は、母馬を運動させて健康に出産できるように、餌と運動量のバランスを考えて、出産に向けてコンディションを整えていきます。
競走馬の生産牧場では、ウォーキングマシンを使って歩かせることによって、母馬の運動不足を解消させています。
重種馬の暮らす家畜改良センターでは、人間が騎乗した馬で追って運動をさせているのです。
もちろん、運動不足は妊娠していない飼育馬にとってもよくありません。
馬は運動が不足するとストレスが溜まってしまい、疝痛が起こりやすくなると言われています。
飼育馬も健康維持のために馬追い運動を実施しています。
馬追い運動の開催時期、開催場所は?
馬追い運動の開催記事は近くなってくると家畜改良センター 十勝牧場(北海道音更町駒場並木8-1)のホームページで情報が発信されます。
毎年1月中旬から2月の下旬ごろに実施されます。
運動をする時間は平日9:30(開場は8:45ごろ)から1時間程度。
無料で見学できます。
馬たちはいくつかのグループに分けられていて、各グループが1周800メートルの運動場を15〜20分ほどで3周します。
天候や馬場の状況などによって、やむを得ず中止となる場合もありますのでご注意ください。
同センターのある音更町は帯広市から車で30分ほどの場所にあります。
真冬の時期は-30度ほどになることも珍しくありません。
見学に行く際は暖かくしていきましょう。
近くには美味しいものや温泉があり、観光も楽しめますよ。
ばんえい競馬の観戦もおすすめです!
冬の北海道観光の際に是非、お立ち寄りください。
まとめ
今回は北海道の冬の風物詩である馬追い運動についてご紹介しました。
日本広しといえども、重種馬たちが雪をまき散らしながら運動をする姿はここでしかみることができません。
来年の冬には是非、間近でその迫力のある景色をご覧ください。
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