競走馬に多い疾患、フレグモーネとは?
馬は非常に繊細でケガや病気に弱い動物です。
中でも馬は、速く走るために手に入れた太い胴と細長い脚のアンバランスな身体構造により、脚のケガや病気にかかることが多い傾向にあります。
また、馬の脚は第二の心臓とも言われており、脚に関するケガや病気は命にも関わってくる重大なものです。
大切な馬の脚を保護するために重要になってくるのが馬を管理する私たちの馬の脚のケガや病気についての理解です。
この記事では馬を扱う上で遭遇することの多い「フレグモーネ」という馬の脚に発症する病気について解説します。
この記事を読んでフレグモーネついて詳しく知り、管理する馬を脚のケガや病気から守りましょう。
この記事で分かること
・馬がフレグモーネになってしまうとどうなるのか
・フレグモーネの予防方法
馬の病気、フレグモーネを知っていますか?
フレグモーネとは皮下組織に発症する急性の化膿性炎症のことです。
フレグモーネの発症は競走馬に多い傾向にあり、発症すると痛みに加え、患部が腫れあがる、熱を持つなどの症状があります。
フレグモーネにかかる原因
フレグモーネにかかる原因は、傷口から細菌が体内に侵入することです。
フレグモーネの原因となる細菌は主に「黄色ブドウ球菌」「化膿レンサ球菌」とされています。
この2つの細菌は決して珍しいものではなく私たちの身の回りに存在するものです。
また、このような細菌は私たち人間の肉眼では見えないほど小さな傷口からも侵入してきます。
実は馬だけの病名ではない!人もかかるフレグモーネ
フレグモーネは一般的に馬がかかる病気であるという認識がされています。
しかし、意外なことにフレグモーネは人間にもおこる病気です。
人間の場合、フレグモーネは顔や手足に発症します。
フレグモーネになると患部は赤くパンパンに腫れあがります。
また、発熱や頭痛、関節痛になる場合もあり非常に厄介な病気と言えます。
人間の場合もフレグモーネになる原因は馬と同様なので細心の注意が必要です。
その他の馬の病気
フレグモーネ以外に馬がなりやすい病気として挙げられるのが蹄葉炎です。
蹄葉炎は蹄の葉状層の血流が滞ることにより発症し、歩行障害などを引き起こします。
蹄葉炎の原因は栄養の摂取過多や運動不足と言われています。
その他にも、馬の脚に関する病気は「屈腱炎」「管骨骨膜炎」など数多くあります。
フレグモーネにかかると起こる影響・後遺症は?
もし、馬がフレグモーネになってしまうと馬の脚は腫れあがってしまいます。
また、フレグモーネの場合は患部が腫れあがるだけでなく侵入した細菌の影響により体全体の発熱を引き起こしてしまう可能性があります。
もし、馬の発熱がひどくなると餌を食べなくなるなどの影響も出てきます。
また、フレグモーネの患部をかばうために馬は重心をずらしながら生活します。
そうすると患部以外の脚に強い負荷がかかり、今度は別の脚を悪くしてしまう可能性があります。
このようなフレグモーネの影響や後遺症を避けるためにも、フレグモーネの早期発見が非常に大切です。
早期発見をすることで対応できることが増え、結果的に比較的軽症で済むことが多いです。
馬を馬房から出す際などを利用して、できるだけ短いスパンで馬の脚の様子をチェックするようにしましょう。
かかってしまったらどうする?フレグモーネの治療法
フレグモーネの治療には、抗生剤の投与や抗炎症剤の投与など様々ありますが、そのほとんどは専門的な知識が必要なものばかりです。
しかし、専門的な知識がなくてもできるフレグモーネの治療方法が2つあります。
一つ目は、患部を水で冷やすことです。
患部を冷やすことで粗熱を取る効果や血流を穏やかにさせる効果があります。
1日に3〜4回ほど、15分間流水で冷やしてあげると良いでしょう。
二つ目は、曳き馬です。
軽く運動をさせることで腫れを抑えられる効果があります。
フレグモーネ中の曳き馬は普段よりもゆっくりのペースで行うようにしましょう。
愛馬を守ってあげよう。フレグモーネの予防法は?
フレグモーネの予防には、馬体に傷口ができた際には傷口を徹底的に消毒することが有効です。
また、何度も繰り返しフレグモーネになる馬には、傷口が見当たらなくても脚全体に消毒液をかけてあげるようにしましょう。
先述したように、フレグモーネの原因となる細菌は人間には見えない程度の傷口からも侵入します。
フレグモーネから馬を守るためにも日ごろからの細心の注意が必要です。
まとめ
この記事ではフレグモーネについて詳しく解説してきました。
しっかりとフレグモーネについて理解できましたでしょうか。
この記事の要点をまとめると以下の通りです。
この記事のポイント
・フレグモーネは馬だけでなく、人間にもかかる病気
・馬がフレグモーネにかかってしまうと患部が腫れあがり、発熱などを引き起こす
・専門知識がない方でもできるフレグモーネの治療方法は「流水で患部を冷やすこと」と「軽い曳き馬をする」こと
・フレグモーネの予防には傷口の消毒が有効的。目に見えないほどの傷口でも細菌が侵入するので注意が必要
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