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馬体の柔軟と扶助の教育【~馬にたずさわる人全てが調教者~49】

2020/10/1

前回の”前後のシナリ”や”減却”が出来ているようならハミ受けは、ほぼ安定している状態と言えます。
この前後のシナリを保ちつつ、次は左右のシナリを作らなければなりません。

つまり左右の内方姿勢をいつでも、どんな時も、どこでも、スムーズにつくる事ができること、左右の切り替えもスムーズであること。

また馬体の真直性、つまり真っ直ぐな状態にもすぐに戻れることが出来なければなりません。


それを可能にするために騎手は正しく正確に扶助を発信させることが出来なければなりません。

その扶助を受けて馬は後躯を躍動させつつ進むべき方向や、各肢の踏み込み方、踏み込む方向や深さによって馬体を前後、

左右にシナらせる事(屈曲)で、扶助により指示された動作を発動させる事ができるのです。


そのために騎手は馬にとって痛みのない最も受け入れやすい、しかも明確な動作で扶助を発動しなければなりません。

馬に要求されるのは、馬体の柔軟性、馬体を躍動させるための後躯へのバランスと活発な動きが必要となります。


1つの運動を完全なものとするために騎手は
▼その運動はどの様なものなのかという知識を持っているか?
・その図形は
・ベースとなる内方姿勢は左右どちら
・四肢それぞれの動きと方向は
・馬体のシナリ度合いは
・馬への負担程度は


▼馬はその運動を受け入れて表現できるだけの肉体的・精神的成熟をしているか
・動作を起こすための筋力は充分か
・馬が騎手であるあなたに良い意味でも悪い意味でも注目しているか
・馬との信頼関係が築けているか


運動内容のレベルが高くなればなるほど人馬共に肉体的、精神的に高い完成度が要求されます。

だかららこそ、地道なコツコツと継続した努力が必要なスポーツなのです。
馬はあなたの指示を待って実行したいと思っています。

馬が出来なくても叱る前に馬がその運動をできるだけの筋力がついているか、あなたの指示を聴こうとするだけの関係はできているか等、

日頃の乗る以外の時間を含めたその馬との良好な関係性が築けているかが重要になります。


正しい取り扱いと正しい騎乗と少しの愛情を持って関わって下さい。

 

 

令和2年10月
長谷川 雄二

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