知れば知るほど奥が深い「馬場馬術」のみどころ
馬術競技の大きな特徴は、唯一の動物との競技であり、男女混成競技というところです。
選手の年齢層もとても幅広いため、馬術は「生涯スポーツ」と言われています。
日本の法華津寛選手は、23歳で1964年の東京大会に障害馬術競技に出場し、71歳でロンドン大会の馬場馬術競技に出場。
東京からロンドンまでの最長出場期間でギネス記録にも認定されたほど。
こんなことが可能なのは馬術競技ならではですよね!
選手とパートナーである馬が息を合わせ人馬一体となる唯一無二の競技、馬術。
これから3回に分けて「馬場馬術」「総合馬術」「障害馬術」のみどころと、競技別の観戦マナーを馬術選手の視点からたっぷりご紹介したいと思います。
これを読んだら、馬術観戦がさらに楽しくなるはず!
馬場馬術
「馬術のフィギュアスケート」とも呼ばれ、20×60メートルの長方形のアリーナ内で「常歩」「速歩」「駈歩」の3種の歩き方をベースに、さまざまな技やステップを繰り広げ、演技の正確さや美しさを競う採点競技です。
馬場馬術は、演技内容があらかじめ全て決められている「規定演技」と、決められた技やステップを取り入れ、音楽に合わせて演技をする「自由演技」(フリースタイル)の2つに大きく分けられます。
アリーナの周りにはアルファベットの標記が置かれ、規定演技ではこの標記によって技やステップをする地点や区間が指示されます。
馬場馬術のアリーナと標記
アリーナの周りには審判員がおり、技やステップの項目ごとに10点満点で点数がつけられます。
それぞれの得点を満点で割ってパーセンテージで表したものが結果となり、パーセンテージが最も高い人馬が優勝となります。
【みどころ】
①馬たちの華麗なステップ
トップクラスの大会では、「グランプリ課目」や「グランプリスペシャル課目」という規定演技と、「グランプリ自由演技」が行われ、欽ちゃん走りのように馬が肢を交差させる横歩(ハーフパス)や、肢を高くあげて速歩をするパッサージュ、その場で足踏みをするピアッフェ、スキップしているかのように見える連続踏歩変換(フライングチェンジ)、そして後肢を軸に回転するピルーエットなど、まるで馬が踊っているかのような技やステップが披露されます。
②選手は何もしていない!?
一見、選手は何も指示せず、馬がみずから踊っているかのように見えるのが馬場馬術の特徴ですが、選手は手綱の引き方、鞍の上での体重移動、脚の移動や挾み方などの小さな動作で、観客にはわからないような合図を送っています。
その合図に馬が応え、華麗かつダイナミックな動きを繰り広げるのです。
この人馬の関係性を実現するためには、普段のトレーニングでいかにコミュニケーションをとるかということも重要になってきます。
③自由演技の選曲
自由演技では、馬の3種の歩き方や技によってメドレーのように曲が変わります。
素晴らしい自由演技を観戦したあとは、1つのドラマを観たような気分になります。
その人馬にあった雰囲気の曲の自由演技をぜひ楽しんでいただきたいです♩
☆観戦マナー
馬はとても繊細な動物なので、集中力を欠かないように馬場馬術の競技中は「静か」に観戦することがマナーです。
走行や演技を終えたあと、人馬を称えてぜひあたたかい拍手を送ってあげてください!
また、写真やビデオの撮影時もフラッシュをたかないように注意が必要です。
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