馬術入門(19)【~馬にたずさわる人全てが調教者~77】
前回の肢巻き装着する際の注意点の補足です。
肢巻きはそれ自体を強くしっかり巻いた状態で馬の肢に巻くのであればあまり巻く時の強さの加減はしなくてもしっかり巻くことが出来ますが、
汗やら雨やらで肢巻きが濡れてずれやすい状況が予想され、いつもより強く巻く必要がある時は、巻く際に肢巻きが馬の肢の何処の部位に来た時に絞るかが大切です。
肢巻きがズレたり、巻く際の力が均等でなく強すぎたりして馬の腱に不均等な力が掛かったまま長い時間放置していると驚くほど腱が腫れてしまうことがあります。
必ず管骨を過ぎた部位で管骨に力が掛かるような絞り方をして下さい。
○鞍の装着
まず装鞍しようとする馬の背、鞍が置かれるであろう場所の状態を確認します。
キコウが高いか、背肉が有るか、背肉は無いが背幅がある、背骨が立っている等を見て装着しなければならない馬装具(ゲル、鞍下パット類、ゼッケン等)を選定します。
あなたがその馬を初めて装鞍するのであれば最初に馬の背に置く馬具をのせる際、馬の反応を観察しながら自然の動きの中で静にその馬具をのせます。
もし少しでも怖がる様子を見せたり、動くようでしたらその物で首辺りを愛撫しながら怖くないことを知らせてあげる必要があります。
安心している様子が見られたら、普通に装鞍を進めます。
人があまり構えて気遣いしすぎても怖くなってしまうので、安心感を与えながら淡々と作業を進めて下さい。
これは普段馬を扱う全ての動作の中で言えることです。
装着した馬具の前後の位置、左右は均等かを確認して鞍を置きます。
鞍下のゲルを含めたパット類は必ず鞍の前橋部分へしっかり持ち上げ腹帯を絞めた際キコウを圧迫しないようにします。
腹帯はお腹に触れた時点からは、タッカク(腹帯を付ける為の鞍に着いたベルト)の穴1つずつ左右を均等に絞めて行きます。
繋いでいる状態では鞍がずれない程度に絞めます。
この状態できつく絞めてしまうと馬によって腰を抜かして倒れてしまうことが有ります。
充分注意して下さい。
令和5年2月
長谷川 雄二
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