障害馬術について詳しく解説!ルールや見どころを知って競技観戦を楽しもう
人馬が一体となり、華麗に障害を飛越していく障害馬術。
目を見張るものがあり、つい、見入ってしまいます。
でも、ルールや見どころを知っていたら、観戦ももっと楽しめるはず!
今回は障害馬術について詳しく解説します。
この記事で分かること
・主な障害物の種類
・障害馬術の見どころ
・服装のルール
障害馬術とは
そもそも障害馬術とはどんなものでしょう。
まずは障害馬術の基本について説明します。
馬術競技は「障害馬術」「馬場馬術」「総合馬術」の3種類があります。
障害馬術は、競技場に設置された様々な障害物を決められた順番に飛越、走行しながら早くゴールすることが求められます。
馬場馬術は正確に且つ美しく規定の技(演技)を行い、それを審査されます。
フィギュアスケートをイメージすると分かりやすいと思います。
総合馬術は馬場馬術と障害馬術、それにクロスカントリー競技を合わせたもので、数日間に渡り競技が行われます。
障害馬術の基本のルール
障害馬術を観戦する前に基本のルールを知っておくと観戦の楽しさも倍増ですよね。
ここからはわかりやすく基本のルールを説明します。
障害馬術のルールは、競技場に設置されたさまざまな色や形の障害物を決められた順番通りに飛越・走行するもので、障害物の落下や不従順などのミスなく、早くゴールすることです。
障害物の大きさは、高さ110㎝〜160㎝までで6段階のグレードがあり、レベルに合わせて変えられます。
なお、一番高い160㎝の物は奥行きが200㎝を超えるものもあり、人の技術・馬の能力そしてその双方が揃ってこそ飛越できるものになっています。
障害馬術の採点方法と減点対象
採点方法は大きく分けて2種類あります。
障害物の落下が減点となる「標準競技」と、落下をタイムに換算する「スピード&ハンディネス」です。
標準競技では減点が少ないほど上位になりますが、最小減点数が複数いる場合は、タイムが早かった人を優勝とする場合と優勝決定戦を行う場合があります。
具体的な減点対象は以下の通りです。
障害物の落下
かけられたバーが1本落ちた場合、全部落ちた場合、積み上げられたブロックが全部崩れた場合
標準競技では減点4、スピード&ハンディネスでは走行タイムに4秒加算
不従順(反抗)
障害物の前で馬が止まってしまったり、横に逃げてしまったり、乗り手の指示に従わなかった場合やコース走行中に巻き乗りをした場合
標準競技では1回目減点4、2回目失権
スピード&ハンディネスの場合は1回目、減点やタイム加算によるペナルティは無し、2回目失権
反抗の継続
コース走行中、継続して45秒反抗があった場合は失権
規定タイムと制限タイムの超過
標準競技ではコース全長と要求されているスピードから規定タイムが設定され、それを1秒超える毎に1点減点
さらに規定タイムの2倍の秒数を制限タイムとし、それを超えると失権
スピード&ハンディネスでは規定タイムはないが、制限タイムはコース全長が600m未満の場合は120秒、600m以上の場合は180秒と定められ、これを超過すると失権
その他
決められた順に飛越しない(経路違反)、落馬・人馬転倒の場合、失権
総合馬術との違いって?
総合馬術競技は、馬場馬術競技・障害馬術競技・クロスカントリー競技の3種目を同一人馬のコンビネーションで3日間をかけて行う競技です。
その3種目の減点合計の少ない人馬が上位となります。
クロスカントリー競技は、障害馬術と同様に障害物を越えていきます。
しかしその障害物は、自然に近い状態の地形に竹柵、生垣、池、水濠などさまざまな障害物が設置されます。
コースの長さは世界のトップレベルの大会では、6km以上にもなります。
総合馬術は種目数も多く日数も3日間かかります。
そのため人馬共に良いコンディションを維持していくこともポイントになります。
障害馬術の主な障害物の種類
障害馬術で使われる障害物にはさまざまな種類の障害物があります。
中にはテレビや写真などでみたことがあるものもあると思います。
ここからは代表的なものを紹介します。
垂直障害
一組の支柱に対して垂直にバーがかかっている障害物です。
高さを変えることができます。
オクサー障害
オクサー障害とは、垂直障害を2つ並べることで奥行きがでる障害です。
前後のバーの高さは同じであったり、後ろより前が少し低い段違いものがあったりします。
高さだけでなく、奥行きも変更できることから高跳びと幅跳び両方の要素を持っています。
馬の侵入速度やバランスが大切になる障害物です。
コンビネーション障害
コンビネーション障害とは、名前のとおり連続して障害物がおかれている障害です。
オクサー障害は2つの障害物を一度に飛越しますが、コンビネーション障害は、一つの障害物を飛越してから次の障害物まで駈歩1歩、2歩ほど分の距離があります。
障害物が2つ連続でおかれていることをダブル、3つ連続でおかれいることをトリプルといい、コースの見せ場になっています。
オープンウォーター障害(水濠障害)
オープンウォーターとは水濠障害ともいわれ、穴に水が張ってある障害です。
跳び越えても一つの足が水に着水しただけで減点対象です。
幅跳びの要素があるので、馬がしっかり前に動いていることがポイントです。
また、馬が水の光の反射を嫌がって拒否することもあり、非常に難易度が高めの障害です。
ここで、もし急に水濠の前で馬が止まると人間はどうなってしまうでしょう。
人間は勢いで水濠にダイブしてしまうことがあります。気をつけましょう。
なお、練習では本格的な水濠ではなくビニールシートを使うことが多いようです。
障害馬術競技の見どころは?
障害馬術は人馬が一体になって障害を飛越していく姿が目をひきますが、実はもっと他にも見どころがあります。
いくつか紹介しますので、これからは意識して注目してみてください。
思わず楽しくなる!様々な色・形で趣向を凝らした障害物
まず注目して欲しいものが、馬が跳び越えていく障害物。
大会スポンサーのロゴが付いているものや土地柄に合わせたものなどがあります。
物によっては馬が驚いてしまうものもあるようです。
コースデザイナーが緻密に計算して作った難易度の高いコース
障害のコースは毎回変わっているのをご存知ですか。残念ながらいつも同じではないのです。
一見、適当に設置されたようにみえる障害物は、資格を持ったコースデザイナーが決められたルールの元、レベルに合わせて綿密に計算してコースを作っています。
その出来上がったコースが発表されるのは当日。
選手はそのコースの意図を読み取りながら、その場で覚えます。
そして競技直前のコースウォークで、実際に自分の足で歩き戦略を練って、本番に挑んでいるのです。
大迫力のジャンプオフ
ジャンプオフとよばれる優勝決定戦は、どの人馬も優勝を狙い、攻めてきます。
迫力あるダイナミックな飛越、スピード、小回りの技術など見どころは満載です。
障害馬術の服装の規定やその他のルール
乗馬を続けていく中で、競技会出場を目標にされる人も多いと思います。
遂に競技会デビューが決まったら、競技会用の服を用意しましょう。
競技会参加にあたっては、種目によりルールが少し異なりますが、服装についてもルールがあります。
ここでは障害馬術の服装について説明します。
障害馬術では、黒・紺・赤のじょうらん(ショージャケット)、白または小鹿色(ベージュ)のキュロット、競技用のシャツ(色は白または白に近い色が無難)が必要になります。また、ブーツは長靴を着用します。
但し、非常に暑い場合はジャケット無しでの騎乗を認められることがあります。
また、規定は数年で改定されることがありますので、必要なときに改めて確認しましょう。
関連記事:競技用ジャケット・ショーシャツの選び方
試合観戦の際に観客が気をつけておきたいことは?
どんなスポーツでも観戦マナーやルールはありますよね。
特に馬術は繊細な馬を競技パートナーとしているため、馬への配慮は忘れないようにしましょう。
具体的には馬を驚かせないように、大声や奇声をあげない、フラッシュ撮影しない、競技中に柵に手をかけたり身を乗り出したりしないなどです。
身を乗り出すことは、馬を驚かせるだけでなく危険です。
その他にも、各競技会場ごとにも注意事項があります。
人馬が集中できるよう、観戦する際はマナーを守りましょう。
まとめ
これまで何となく競技会を見ていた人、競技会なんてまだ先の話と思っている人、ここまでの解説でルールも見どころも理解できたと思います。
ぜひ機会があれば競技会場でスピード感あり、迫力ありの障害馬術を観戦してみてはいかかでしょう。
そのときは観戦マナー・ルールも守りましょうね。
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