馬の調教のポイントをご紹介。上手なしつけや作法とは?
乗馬や競馬を見ると、馬は人間より大きな体をしていますが、きちんと人間の指示に従っていることがわかります。
馬は社会性がある、優しい動物といわれていますが、もちろんしつけや作法を教える必要があります。
それでは一体どのように調教を行っているのでしょう。
この記事では、馬の調教のポイントや上手なしつけについて、競走馬から乗用馬への再調教について説明します。
この記事で分かること
・馬のしつけ「馴致(じゅんち)」とは?
・引退馬から乗用馬の再調教
馬の調教のポイント
馬は元々野生の草食動物です。
そのため、初めから鞍をつけて人を乗せる事はできません。
乗用馬にしても競走馬にしても、鞍や手綱などの馬具に慣れ、人を乗せて走れるようになるためには調教が必要になります。
ここからはそのための調教のポイントを説明します。
馬に調教者との主従関係をしっかり理解させる
調教で重要なのは馬と調教者との主従関係を理解させることです。
主従関係ができていないと、何かあったときに馬がパニックになり、人間はそれを止めることができなくなります。
そうすると大きな事故につながり、周りの人間や馬が怪我をする可能性もでてきます。
人間より体が大きい馬をコントロールするためには、主従関係を理解させ、どのようなときも人間がリーダーであることを覚えさせる必要があります。
そのため、いくら馬がかわいいといっても必要なときは「ダメ!」「違うよ!」という事をしっかり伝え、しつけることが大切です。
これは子育てや小さい子のお世話をイメージすると分かりやすいかもしれません。
普段、かわいがったりほめたりしても、危険な行為や人に迷惑をかける行為については、厳しくしっかり伝える必要がありますよね。
これはしつけで成長していく中で必要なものです。
それと同じように、馬にも主従関係を理解させ、しつけを行うことが重要です。
馬のお世話やコミュニケーションで信頼関係をつくる
馬と人間が信頼関係を築くことも調教のポイントになります。
人間同士も信頼関係が築けている相手の話は素直に聞けますが、それほどの信頼関係が築けていない相手に対しては、疑いや反発する気持ちになることもありますよね。
それと同様に馬と信頼関係が築けないと調教が上手く進みません。
特に人間より体が大きい馬が相手なので、力でどうにかできることでもありません。
それではどのようにして信頼関係を築けるようになるのでしょうか。
それはコミュニケーションをとることです。
人間同士もコミュニケーションをとることで相手を知り、信頼関係を築くことができます。
馬ともお世話をしながらコミュニケーションをとってみましょう。
「馬とは会話は出来ない!」と思うかもしれませんが、会話だけがコミュニケーションではありません。
優しく声をかけながらお世話をすると馬も安心できますし、馬の表情を見ながらお世話をするのもコミュニケーションになります。
調教する馬をよく観察し、性格を知る
馬も一頭一頭性格や特性が違います。
馬を説明する言葉として、「馬は優しい」「馬は臆病」などありますが、馬の中には気性が荒い馬もいますし、好奇心旺盛な馬もいるため、一概には言えません。
そのためある馬には上手くいった調教方法でも、違う馬にとって上手くいかないこともあります。
また人間でも男性らしさと女性らしさがあるように、馬も牡馬と牝馬では違いがあります。
例えば牡馬は単純な事にこだわらない、単純で分かりやすい、いつまでもやんちゃな馬が多いといわれています。
そして一方、牝馬は優しく、のんびり屋、神経質な馬が多いといわれています。
そのため調教をする際には、牡馬に対しては毅然とした態度で調教し、牝馬に対しては優しく愛情をもって調教するなど違いがあるようです。
しかし、説明したように一頭一頭性格が違うため、馬をよく観察し、その馬の性格を知ることは大切です。
大きな声を出すのは逆効果!
調教のポイントとして、「良い」と「悪い」を理解させることが重要になります。
「良い」時にはご褒美をあげたり、優しく声をかけたり、愛撫してあげると馬も喜び、「良いこと」を覚えます。
また「悪い」時には、厳しい表情やきつい声で「悪い」ことだったことを理解させます。
このときに人間が大きな声を出して怒るのはNGです。
元々馬は臆病な動物なので、大きな声や大きな音に驚いてしまいます。
叱るときの声は大きな声ではなく、厳しい表情と一緒にきつい声を使って伝えます。
馬のしつけ「馴致(じゅんち)」とは?
馴致(じゅんち)とは、馴れるという字の通り少しずつ馴らすことをいいます。
馴致にはしつけや作法も含まれるため、馴致がうまくいかないと後々スタッフや騎手が扱いにくい馬になってしまいます。
そのため、馬にとって馴致は重要です。
ここからは具体的に、いつごろ何に馴れていくのかを説明します。
例えば競走馬の場合、2歳夏のデビューに向けて1歳頃から馴致が始まります。
最初は鞍を付けたり、ハミをつけたりと馬装に馴れるため、馬装馴致になります。
その後に人を乗せ、その人の意思に沿うようする騎乗馴致に移ります。
そして基礎体力を付けながら、競走馬として育成していきます。
引退馬から乗用馬の再調教
競走馬の中には、引退後のセカンドキャリアとして乗用馬になる馬がいることをご存知ですか。
しかし競走馬と乗用馬では求められるものが異なるため、馬は乗用馬になるために再調教を受けることになります。
具体的には、競走馬はプロの騎手を乗せて、少しでも速く走ることが求められますが、乗用馬は初心者を始め、様々なレベルの色々な人を乗せることが求められます。
そのため「勝つための調教」から「落ち着いて、乗っている人の求める動きをする調教」へと再調教が必要になるのです。
まとめ
競走馬にしても乗用馬にしても、人間が馬を管理するためにはしつけや作法が必要になります。
そのために重要なポイントは、人間と馬の主従関係を理解させる、信頼関係を築く、馬を観察して性格を知ることです。
これはプロの調教師だけでなく、馬に乗る人にとっても大切なことです。
しっかり人間がリーダーであることを伝え、お世話で信頼関係を築き、馬を観察するようにしましょう。
このページをシェアする