馬術の起源を詳しく紹介!馬術が始まったのはいつから?発祥国はどこの国?
今年パリで開催されるオリンピックでは、ベルサイユ宮殿を臨む美しい競技場で行われることで注目を集める馬場馬術。
それに加えて、障害馬術と総合馬術の3競技がオリンピックで競われています。
この形に落ち着くまで、馬術はどのような変遷をたどってきたのでしょうか。
この記事では、馬術の起源や発祥地について説明します。
この記事で分かること
・馬術の起源は?
・馬術競技の始まりはいつ?
馬術とは?
馬術とは辞書によると「馬を乗りこなす術。馬に乗り、馬を御(ぎょ)する技術。
馬に乗ってそれをあやつる技術」のことを言います。
しかし、現在では転じて「人馬一体となり、技を競うスポーツ競技」のことを指すことも。
特にオリンピックの競技である馬場馬術・障害馬術・総合馬術の3種目を意味する場合も多いでしょう。
一般的な乗馬との違い
乗馬とは「馬に乗ること」を意味します。
そのため、技術を使わなくても「乗馬」をすることは可能です。
人に引かれている馬に乗っているのも「乗馬」です。
しかし、乗馬と聞くと乗馬クラブで馬に乗ることをイメージしませんか。
このことから、一般には、娯楽や趣味で単に馬に乗ることを楽しむこと全般を指して「乗馬」とされているのではないでしょうか。
一方、「馬術」は美しい所作で技術を使い、馬をうまく御する「技」です。
馬場馬術のピアッフェなどの技や障害馬術で高い障害を飛越する技を駆使できることが「馬術」と言えると考えます。
まとめると、馬を動かすことは「乗馬」、馬を動かす中で技を披露するのが「馬術」ということができます。
馬術の起源はヨーロッパの軍事訓練から。
馬の家畜化が始まったのは紀元前5500年ごろとされており、東欧に起源を持つヤムナ人の紀元前5000年ごろの遺骨には乗馬をしていた痕跡が見つかっています。
そのため、このころにはヨーロッパの南東部に住む人々の間では乗馬がある程度、広がっていたとも考えられるのだとか。
紀元前4500年ごろまでに、馬は戦車を引くために使われるようになりました。
また、紀元前2000年ころには戦車を引くのに適した性質を持った馬が選択的に交配されていたとも言われています。
実際にギリシャで行われていた古代オリンピックにも戦車競技(シャリオ・レース)がありました。
このように効率的な移動手段や輸送手段として重宝された馬たちは、徐々に軍事用途でも用いられるようになっていきます。
その訓練方法として発展してきたのが馬術でした。
そのため、世界各地でその土地の戦術や土着の馬にマッチした馬術が生まれています。
日本でも流鏑馬(やぶさめ)をはじめとした和式馬術が発展しました。
しかし、現代における馬術の起源になったのは、ヨーロッパの軍事訓練です。
古代ギリシャではすでに馬を使った軍事訓練が実施されていました。
紀元前400年ごろには、ギリシャの軍人で哲学者ソクラテスの弟子でもあったクセノフォンが馬の訓練や扱いに関する著書「馬術について」を執筆しています。
これが世界で初めての馬術書であると言われています。
馬術競技の始まりはいつから?
馬場馬術の起源は先述のクセノフォン著「馬術について」に認められると言われています。
ルネサンス期には同書を手本として、調教などの発展がはかられました。
この時代に確立された馬術を古典馬術と呼びます。
古典馬術による訓練を受けた人馬が宮廷にて演技を披露していたことが、やがて近代の馬場馬術競技へと形を変えていったのではないかと言われています。
ちなみにウィーンにあるスペイン乗馬学校では今でも古典馬術を教えているんですよ。
障害馬術は、イギリスの田園地帯にフェンスが設置されるようになったことから、狩りに行く人がフェンスを飛び越えられる馬を調教したことをルーツにしています。
1869年には、ダブリンのホースショーでフェンスが設置され、飛越を競う競技が初めて行われました。
総合馬術は騎兵隊の馬をテストする過程で生まれた馬術だったそうです。
1902年には初めての競技会が行われました。
戦争に車両が導入されていくにつれて、それまで軍事訓練の要素の高かった馬術は、徐々に競技として変遷をたどることになります。
オリンピック競技としての馬術
実際に障害馬術とポロが採用された1900年パリ大会から1948年大会までは、軍人もしくは「紳士」のみの出場が許されていました。
このルールは1952年大会で撤廃され、女性も馬場馬術には出場できるようになります。
1956年大会では障害馬術への参加ができるようになりました。
そして、ついに1964年東京大会以降は全ての馬術競技に女性の参加が認められます。
東京大会では、井上喜久子選手が女性で初めて日本代表として馬場馬術競技に参戦し、個人16位、団体6位の成績をおさめています。
今でも馬術は男女が一緒に競う珍しいオリンピック競技です。
ポロはのちに廃止となりますが、1928年大会以降は馬術競技に採用された3種目に変更はなく、今ではオリンピックでおなじみの競技となっています。
しかし、残念なことに1912年大会から実施されてきた「近代五種」では、今年のパリ大会を最後に馬術が除外されることになりました。
2028年のロサンゼルス大会では障害物レースを採用することが決まっています。
オリンピック競技としての近代五種の馬術は、約110年の歴史に幕を下ろすこととなりました。
まとめ
今回は馬術の起源や発祥について調べてみました。
馬術はオリンピック競技の中でも、歴史の長い競技であることが分かりました。
今年のパリオリンピックでは是非、地上波での放送を期待したいですね!
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