馬術(10)【~馬にたずさわる人全てが調教者~111】
前回もお話しした様に、初めて乗る馬は、これまでに生きて来た環境、関わって来た人達によって大きく変わってしまいます。
未調教の若い馬で低難度の運動であれば多少力ずくであっても大きな扶助の違いがなければそれなりに動いてくれます。
その時点での運動としては、間違いとは言えません。
しかし、若い馬は馬自身の身体も未完成の状態、身のこなし方も解っていないので、このままの運動を続ける事で怪我や故障を発症してしまいます。
正しいパフォーマンスは何1つ完成する事無く、馬には嫌な記憶だけが残るだけですぐに限界が来てしまいます。
これは、調教されたベテラン馬でも同じです。
体力も筋力も充分持ち合せ、要求されている運動、その身のこなし方も全て解っていたとしても、何処か1つでも痛い思いや、嫌な思いをするところがある事で2〜3年は馬も我慢して動いてくれますがやがて肉体的、精神的に我慢も限界に達し多くの場合、前進気勢を失い動こうとしなくなってしまいます。
さらに精神的には、うつ状態となり表情が無くなってしまいます。
一旦こうなると元の健全な状態に戻すのは大変な事です。
レベルの高い馬程細かな所まで気を配って調整しなければなりません。
先ずはみつぎものを沢山持って行き仲良くなり目を開けてもらわなければなりません。
あとは、乗ったり、調馬索をしたりしながら馬を苦しめていた原因を探しながら、苦しめていた原因にソフトに対応しながら改善して行かなければなりません。
苦しめられていた年数以上は掛かると思っていて下さい。
令和7年12月
長谷川 雄二
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