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腰内からの展開【~馬にたずさわる人全てが調教者~43】

始めの腰内への入りは、巻乗りでしっかり馬体の左右のシナリを意識して内方姿勢を正確に動作した巻乗りを行い蹄跡に戻る際に、前回の腰内の扶助を発動して入ります。

腰内運動を始めたばかりの馬や騎手はスムーズに態勢を取れるようになるまでは、この巻乗りから入るようにして下さい。
最も重要なことは、後躯をしならせる事です。

 

内方姿勢の 内方脚をそのままの位置で鐙を踏み下げながらふくらはぎと踵を馬体にしっかり着け、馬がこの内方側を張って姿勢を崩してこないようにおさえるよう意識を持って構えます。

外方側はふくらはぎと踵を馬体に着けたまま腰骨、太腿、膝全体を後に引きます。
踵だけを後に引くようにならないで下さい。
あくまでも腰骨ごと全体を踏み下げながら引くのです。

 

足首を柔らかくしていれば自然に踵が自身のお尻のラインより後方に来ます。
この位置で踵を強く使い、馬の外方後肢を進行方向へ踏み込ませるように使います。
この両脚の動作により後躯がしなります。このしなりは馬体全体に波及します。
ですから前駆は後躯からのシナリを受けて、わずかな、しかも軽いタッチでの肘の動作で簡単に前駆のシナリを完成させられるのです。
但し、腰内の運動は馬にとって苦しい姿勢ですので、騎手は馬を手助けする為にも常に座骨の効いた全身で真っ直ぐに推進動作を行い指示を出し続けて下さい。

 

最もやってはいけないよくある動作は、左右のシナリが作れないからと肘から前で拳を振り回してしまうとか、脚の姿勢を変えてしまったり、踵で蹴って無理にでも姿勢をとらそうとしたりすると、何をすれば良いのか解らず反発したり、頸だけを曲げてしまったり、顎だけを捻ってしまったりして全身のシナリとはなりません。
間違った動作は他の運動にも悪い影響を与えてしまい今まで出来ていたことも出来なくなってしまいますので、充分注意して下さい。

 


令和2年4月
長谷川 雄二

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