扶助の教育と柔軟の為の図形【~馬にたずさわる人全てが調教者~53】
前回の前肢旋回運動は馬にとって前肢に大きな負担となる運動です。
特に常歩では4節の速歩では2節の明確な動きのなかで実施しなければ前肢の管骨に捻れの大きな負担が掛かってしまいます。
馬の管骨は真っ直ぐの負重には強いのですが、捻れの負重では簡単に骨折してしまう事があります。
トレーニングの際は充分に常歩で騎手は推進と扶助を、馬はリズムと肢の運び等、身のこなしが出来るようになってから速歩を始めるようにして下さい。
駈歩ではこの運動をしないで下さい。前肢への負担が大き過ぎます。
前肢の動きが止まってしまうと骨折の危険性もあります。充分に注意して行って下さい。
更に真直性を完成させるために締跡の中央線を使って運動します。
横に柵の無い締跡では騎手がしっかりと直線の締跡を意識して目標の走行ラインを明確に持ち馬体が真っ直ぐとなるようにしっかり両拳を揃えて置き、肘と腰で受け止められるように構えます。
そこへ左右均等に坐骨と脚で両ハミに均等に出て来るように推進します。
馬体の真直性を感じたら左右どちらにも巻乗りをいれてみる。
再び中央線上に戻ったらこちらも左右どちらにも肩内を入れてみる。
それぞれの切り替え等繰り返し行う事でハミ受けが向上し人馬共に真直性の感覚と前後のシナリ、左右のシナリの扶助と態勢を身に着けて行くことが出来るようになるのです。
馬の調教目的にしろ貴方の練習目的にしろ一つ一つの運動に目的意識をもって
“どう走るか”“どう円を描くか”“どう発進するか”“どう止まるか”
どれだけ意識をもってどれだけ繰り返し出来るかが重要です。
消して特別なテクニックやら秘訣があるわけではありません。
常に自身の馬に発信している扶助や動作、力加減やタイミングリズム、馬との呼吸考えながら、何度も繰り返し練習することが一番の近道なのです。
令和3年2月
長谷川 雄二
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