左右のシナリ【~馬にたずさわる人全てが調教者~55】
左右のシナリとは、例えば直径3m程の小さな円を描くとした場合、
その円の輪線に馬の頭が有ると同時にその輪線の先を見ているか、馬の肩は輪線上に有るか、
前肢はその輪線の両側を跨ぐように動いているか、騎手もまたその輪線を跨ぐように動いているか、
更に馬の腰は輪線の上にあり後肢はその輪線を跨ぐように動いているかです。
つまり馬体全体が頭の先から尾の着け根までがその輪線に合わせてシナリ、
輪線を跨ぐように動いている状態が両手前つまり左右出来る事が馬体に左右のシナリが有ると言うことです。
このシナリを完成する過程に於いては色々な姿勢を取ることがありますが、
あくまでもこの左右のシナリを完成させるための動作でなければなりません。
何故ならそれは前後のシナリと協調して馬体の体幹、態勢を崩すことなく瞬時にあらゆる方向へ全力で動作することが出来る構えだからです。
それはどんな運動に於いてもその馬の最大、最高のパフォーマンスを発揮します。
シナリを作る上でもっとも重要なのがハミ受けです。
これは前回の前後のシナリで完成しているものとして進めていきます。
まず、左右のシナリは全て内方姿勢が基本の動作となります。
長鞭を馬に見立て細い方を後、握り手を馬の口としてまたがってみて下さい。
貴方のフクラハギのところに鞭をはさみこれをシナラセテみて下さい。
例えば左のシナリを作ろうとしたら右の手で握り手の右側を軽く押さえ、右のフクラハギを後へ引きながら軽く左方向へ押します。
左のフクラハギをそのままの位置で右方向へ押すことで、シナリます。
その時右の手には波及してきたシナリの力を感じることが出来るはずです。
これが外方手綱の受け止めです。
内方の手綱は何の動作も起こさずにシナリは出来るのです。
令和3年4月
長谷川 雄二
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