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馬の性別について詳しく解説!オスとメス、そしてもう一つの性別『セン馬』とは?

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2023/4/11

二頭の馬のイメージ

みなさんは、馬の性別はオスとメスだけでなく3種類あるのをご存知ですか?

たいていの生物はオスとメスだけなので、「馬の性別はオスとメスだけではありません」といわれても驚かれるかもしれません。
今回はその不思議な性別について解説します。

この記事で分かること

・馬の性別は「牡」「牝」「セン」の3種類がある
・性別ごとの性格、特徴、見分け方
・牡馬と牝馬の体格や性格の違い
・セン馬のメリット・デメリット

馬の性別について。「牡」「牝」「セン」の3種類あるって本当?

馬の顔のイメージ

人間の性別は「男性」「女性」、動物は「雄(オス)」「雌(メス)」というように、たいていの生物は2種類の性別に分かれています。

ところが馬は「牡」「牝」の2種類だけでなく「セン」という性別の馬もいるのをご存知ですか。

いったい、これはどういうことでしょう。

答えは去勢手術を行った牡の馬のことを「セン(騙)」といい、1つの性別として扱っているのです。

つまり「牡馬(ぼば)」が去勢手術を行うことで「セン馬」になり、馬の性別は「牡」「牝」「セン」の3種類になります。

ここからは、馬の性別の違いによる特徴、「セン」にするメリット・デメリットについて解説します。

馬の3つの性別、それぞれの性格や特徴・見分け方

人間には身体的にも性格的にも「男性らしさ」「女性らしさ」がありますよね。

動物の世界でもオスとメスで身体的な違い、生物としての役割の違いがあります。

それでは馬の3つの性別についても、違いがあるのでしょうか。
それぞれの特徴を説明します。

オス・牡馬(ぼば)

オスの馬ということで一概にはいえませんが、一般的に牡馬は小さなことにはこだわらず、単純でわかりやすく、いつまでもやんちゃな性格をしています。
また、短気な部分もあります。

身体的な特徴としては筋肉が牝馬より多いのでがっしりした印象になります。

メス・牝馬(ひんば)

こちらも一概にはいえませんが、一般的に牝馬は優しい、のんびり屋、変なところに神経質な馬が多いです。

身体的には、どんなに鍛えても流線型を保ち、柔らかい印象になります。
また成長と共にお尻も大きく大きくなってきます。

もっと細かい部分でみると、牡馬と牝馬ではたてがみの硬さや量、髭の量にも違いがあらわれます。

近くでみることがあるときには、ぜひ観察してみてください。

去勢したオス・騸馬(せんば)

セン馬は去勢手術を行った牡馬なので、男性ホルモンが減少し、牡馬だったころの性格や特徴と違いがあります。

具体的には、気性の荒さが減ることで落ち着くようになり、人間との折り合いもよくなります。

また男性ホルモンが減ることで相対的に女性ホルモンが増え、見た目にも変化がでてきます。

牡馬と牝馬の違いを比べてみよう

2頭の白馬のイメージ

たいていのスポーツは男女別に競い合いますが、乗馬は男女別に分かれていないことにお気づきでしょうか。
オリンピックでもそうでした。

それだけ、乗馬は老若男女問わず楽しめるスポーツということです。

では人間とパートナーとして出場している馬たちはどうでしょう。

競馬のデータをみると性別がかかれていますが、データなしで「この子は牡馬」「この子は牝馬」と見分けはつきますか?

ここからは牡馬と牝馬の違いを比較してみましょう。

体格差はどれくらい?

体格は品種によって違いますが、サラブレッドの場合、牡馬の平均体高は161cm、平均体重は468kg。

一方、牝馬の平均体高は159cm、平均体重は448kgです。

人間と同じように少しオスの方が大きく、筋肉もあるようです。
そのため、牡牝混合のレースでは牡馬がウエイトの斤量は+2kg重いものを付けて走っているそうですよ。

性格や気性の荒さの違い

性格や気性の荒さは性別だけでなく、個々の性格による部分が大きいのは人間や他の動物と同じです。
ここでは一般的な話として、牡馬と牝馬の違いを説明します。

性格として牝馬の方が、恐怖心を持ちやすい、仲間への依存度が高い、神経質といわれています。

一つの例として、人のいうことを聞かずに叱らなければいけないとき、牡馬はきちんと叱れば直ることが多い。
しかし牝馬は叱られたことで過度に恐怖を感じ、人の指示に従う余裕すらなくなってしまい、状況が悪くなることがあるようです。

また、牝馬は別のパターンとして叱られたことに逆ギレしてしまうことがあるようで、扱いが難しいといわれています。

そして、大きなレースが近づくと、周りの人間の雰囲気や緊張感を感じ取って、神経質になってしまうのも牝馬が多いようです。

気性の荒さに関しては、牡馬の方が強い傾向があります。

これは群れで生活していた頃、その縄張りは牡馬が守っていたことから、闘争心が必要だった背景の名残ともいえるようです。

出られる試合の違い

競馬のイメージ

乗馬の世界では、性別による出場の制限はないため、どの性別でもどの競技にも出場できます。

しかし、競馬では性別によって制限があります。
例えば、桜花賞やヴィクトリアマイルなどは牝馬限定で牡馬やセン馬は出走できません。

一方で牡馬限定や騙馬限定のレースはありません。
また、クラシックレースや一部のG1は牝馬と牡馬に限られセン馬は出走できません。

セン馬の出場制限が多く不憫に感じますが、これには理由があります。
このようなクラシックレースやG1は繁殖牡馬の選定を兼ねていた歴史があるため、繁殖能力がないセン馬は出場の権利がないためです。

このように、牝馬は制限なくどのレースにも出場できますが、セン馬は最も制限を受けてしまいます。

なぜセン馬にするの?セン馬のメリット・デメリット

ここまでの説明のように、セン馬は繁殖能力もなく、出場できるレースも制限されてしまいますが、なぜセン馬にするのでしょう。
そのメリットとデメリットについて解説します。

メリット①気性が落ち着いてくることが多い

牡馬に多く分泌される男性ホルモンにより、気性が荒くなったり悪くなったりすることがあります。

競走馬の世界で闘争心が強く気性が荒い方が強そうにもみえますが、気性が荒いと人の指示に従わず、レース中も騎手の指示に従えず、実力があるのに成績が残せないことがあります。

そこで去勢をすることで男性ホルモンも減り、気性の荒さが抑えられることにより、気性が落ち着いて人間との折り合いがよくなります。

これはレース中だけでなく、普段の調教から落ち着いてしっかりできるため、能力も高くなります。

また、牡馬によってはパドックで牝馬に発情してしまい、レースに集中できずに実力が出せないことがあります。
去勢をすることでそのようなリスクを回避することもできます。

メリット②身体が柔らかくなり怪我のリスクを抑えられる

人間が運動前にストレッチや準備運動をするのは、筋肉を伸ばすことで身体を柔軟にし、怪我をしないようにするためです。

馬も身体を柔らかくすると怪我のリスクを抑えることができます。

特に、サラブレッドは「走る芸術品」といわれるほど美しい体型をしていますが、怪我をしやすい品種ですので、出来る限り怪我のリスクは抑えたいですよね。

では、なぜ去勢をすることで身体が柔らかくなるのでしょう。

これもホルモンが影響しています。

去勢をすることで男性ホルモンが減り、相対的に女性ホルモンが強くなります。
その女性ホルモンが身体を柔らかくする効果があることから身体が柔軟になり、怪我のリスクを抑えることができるのです。

デメリット

診察を受ける馬のイメージ

物事にはメリットとデメリットがあるように、牡馬をセン馬にすることにもデメリットはあります。

それは、素晴らしい成績を残しても、生殖能力がないため種牡馬にはなれない、つまり高い能力の遺伝子を残せない点とクラシックや一部のG1に出場できない点です。

その他にも「手術のリスク」もデメリットとして挙げられます。

確かに高い医療技術により、成功率も高く、過度に心配しすぎる必要はありません。
しかし麻酔によってショックを受ける馬がいたり、術後に創部からの感染により合併症が起きることも「ゼロ」ではありません。

このことから去勢手術を行うときには慎重に検討し、丁寧に経過を見る必要があります。

まとめ

馬にはオスとメス以外に「セン」という性別があります。

去勢手術をすることにより、気性が落ち着き、良い成績を残せるようになったり、怪我のリスクを抑えることができるというメリットがあります。
一方でデメリットもあります。

日本ではまだ「セン」の数は多くありません。

しかし、競走馬や乗用馬として活躍している「セン」もいます。
機会があったら、是非探してみてください。

そして性格や身体的な特徴なども観察してみると新しい発見ができ、より馬の知識が深まるでしょう。

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