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馬術入門(26)【~馬にたずさわる人全てが調教者~84】

調教の出来ている馬に乗っていると自分が新たな事を調教したかのように思ってしまう事がよくあります。

しかし、全く何も知らない無地の馬に乗ると速歩や駈歩の発進すらスムーズにすることができません。

今まで2.3の動作で色々な運動を指示通りにできていた事が全く伝わらないのです。

 

無地の馬を調教するということは、馬に自然と与える反応が望む動作を最も発動しやすい姿勢を取らす事ができるかです。

その為には自然体での馬の動きがどのようなものかを知識として知っておく必要があります。

知識を持った上で騎乗者は全身の各部位をそれぞれどのように使って何をさせる必要があるのかを考察しなければなりません。

あくまでも基本の動きに忠実に坐骨、肘、拳、太もも、膝、ふくらはぎ、踵等の位置や使い方、全身をフルに活用しながら、さらに使う時の強弱も調整し、できるだけ正確に扶助を発動します。

 

更に実践した結果を分析し微調整をして正しい反応を発動した時を逃さず褒めてやる事で扶助が完成に近づいて来ます。

この時の扶助で望む動作を発動させながら徐々に明確で堂々とした理想の動き、力を入れずに動きの少ない理想の扶助を完成させて行きます。

 

無地の馬でも手を振り回すだけでオオザッパな誘導はできます。

蹴るだけでも馬の気持ちを無視してなら動かす事もできます。

しかし、これでは段階を上げる上の積み重ねにはなりません。

難易度を上げる事はできないのは勿論の事、今までちゃんと指示通りに動いていたのに突然怖がる様子を見せたり、暴れたりと反発するようになってしまいます。

わずかな動作が馬に苦しい思いをさせてしまっているのです。

 

確実で正しい扶助を常に発動出来るように体に叩き込んで下さい。

明らかな間違った動作を繰り返しているとやがて重いだけの気の抜けた意思の無い暗い馬となってしまいます。

 

こんな馬にしてしまうと自己主張もしなくなり、意思疎通もできなくなってしまいます。

勿論人に感動を与える事などできなくなってしまいます。

 

小さな間違えのうちに気付いてあげられる事が大切です。

あまり考え過ぎて乗れなくなる乗らなくなるのではなく、ほんの少し頭の片隅に入れて騎乗してくだされば、きつと人馬共にハッピーになれると思います。

 

令和5年9月

    長谷川 雄二

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