馬術(20)【~馬にたずさわる人全てが調教者~121】
前回のトレーニングの方法だけで前後のシナリが完成するわけではありません。
すでに調教されている馬であれば正確に丁寧に実行して行く事で調整することは出来ます。
しかし、調教もまだ数ヶ月の未熟な馬、あるいは騎乗技術の未熟な騎手では、推進が効いたわずかな距離だけなら真直性が保持出来、減却、停止、後退、発進を繰り返す事ができたならなんとなく軽いコンタクトを感じる事で前後のシナリを感じる事が出来るでしょう。
直線上の動きではこの状態を保つ事ができますが、回転する度に真直性がなくなり、真直ぐ歩く事が出来なくなってしまいます。
するとたちまち馬はユガミ騎手は手を振り回して修正しようとして更にコントロールの出来ない状態に陥ったしまいます。
つまり前後、左右のシナリをそれぞれ安定させ完成させるのは、同時に調教していかなければならないと言う事です。
左右のシナリを作ろうとしているうちに肩を張ることや腰を振ることを覚えて運動してしまうと、真直性が失われ体幹のない不安定な動きとなってしまいます。
この状態では、後肢の活発な動きは無くなってしまいます。
これを良しとして行くとおとなしく手を振り回すだけでも自在に思う方向へ行ってくれるので良い子(良い馬)と勘違いしてこの運動で満足して、調教内容を上げる事なく年を重ねる事で全身の筋肉はおちフレーム自体の躍動が望めなくなってしまいます。
また、難易度の高い運動を要求しても筋力も無く身のこなし方も解らず調教に対して反発する事が多くなってしまうでしょう。
更に、コントロールが浅いので馬にとってやな事、怖い事などあれば騎手の意思に関わらず、逃避したり、暴れたりしてコントロール出来なくなるでしょう。
馬の健全な発育の為に、特に若い将来のある馬であれば今の内にしっかり前後、左右シナリの出来る運動を身に付けさせてあげて下さい。
令和8年10月
長谷川 雄二
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