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馬術入門(30)【~馬にたずさわる人全てが調教者~88】

長谷川雄二

2024/1/4

前回の前肢旋回が完成するまでの運動は、常歩で確実にできるようにして下さい。

馬が肢の運び方、身のこなし方を身に付けていないうちに真横はもちろんの事、横への深い動きをすると上手く肢を交叉することができずに管部や膝をぶつけてしまい、この運動自体を痛い動きと思い嫌うようになってしまいます。

さらに完成型の動きを強引にすれば跛行してしまう事にもなってしまいます。

 

訓練の流れとして、普通の6m程度の巻き乗りで確実に馬体のシナリを作った綺麗な円を描けるようになったら、さらに3m程度の小さい円を描きます。

この時のシナリは6mの時と同じシナリ具合です。

内方脚を強く使い馬の内方後肢を外方側に踏み込ませる事で前肢旋回に近い小さい巻き乗りを描くことができます。

推進方向はあくまでも真っ直ぐです。

自分自身の身体を捻じったり手を振り回したりして見せ掛けだけの小さな円を描けたとしても次の動きに進む事はできません。

あくまでも脚で後肢を動かすことができているかです。

 

この小さな円を正しく描くためには

・内方姿勢での外方脚の位置は踵が坐骨の後方であること。その脚が膝と踵を踏み下げた状態で鐙を踏んでいること。

・内方脚の位置は踵が坐骨の真下か少し前にあり、ふくらはぎと踵が馬体に密着して強く使える状態にあること。

・坐骨の真上に肩があること、左肩は左坐骨の上、右肩は右坐骨の上、上体をけしてねじらないこと。

・外方の肘がハミを受けた位置で安定してソフトなコンタクトが保てていること、馬が外方の口や肩に抵抗が強く来た時は、素早く肘、脇を閉じ壁を作れること。(馬の抵抗が強い時は、両拳共に外方、内方それぞれの場面で短時間だけ強く使ってもかまいません。)

・内方の肘は、脚と同調して軽い動きで頭を内方に向けられること、拳は、馬が前に進もうとする気持を阻害しないように常にソフトであること、わずかな手の平の動きで馬の顎を譲らせられること。

 

騎乗者は常に馬の全体の動きを感じながら、求める運動の扶助となる姿勢を保ち、馬の反応の良し悪しに合わせて力の強弱を付けます。

できるだけ強い使い方を短時間に収めることが人馬共に楽で伸びやかで良いパフォーマンスとなるのです。

 

令和6年1月

       長谷川 雄二

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