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馬の「ボロ」っていったい何?意味や語源、豆知識をご紹介

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2023/7/4

乗馬の後ろ姿のイメージ

「ボロとっておいて」、「ボロした!」など、乗馬クラブに行くとよく聞く「ボロ」。
ボロとは何を意味する言葉かご存じですか。

実は馬糞のことをボロと言います。

この記事ではボロについて、掘り下げていきます。

この記事で分かること

・「ボロ」とは?
・ボロ 古今東西
・ボロから分かる、馬の体調や健康状態
・馬房のお掃除

「ボロ」とは?

「ボロ」とは馬を扱う業界の専門用語で馬糞を意味します。

しかし、なぜ馬糞がボロと呼ばれるようになったのでしょうか。

ボロの語源

実はボロの語源について、正確なことは分かっていません。

諸説ありますが、一番有力だとされているのが「ボール」がなまってボロになったという説。

馬がボロをすると、ボールのように丸く積み重なることから「ボール(ball)」がなまって「ボロ」になったというものです。

他にもボロボロするからボロなどの説がありますが、いつから、どうしてボロと言われているのか、はっきりとは分かっていません。

馬が1日にするボロの量はどれくらい?

馬の顔のイメージ

馬が1日に出すボロの量は体重の4〜5%と言われています。

個体差はありますが、1日4〜13回にわけて排泄するようです。

現役競走馬のサラブレッドは平均体重が約470キロですので、1頭あたり約19〜24キロのボロを出していることになります。

少なくとも、1頭あたり1回につき1.5キロ程度は排泄している計算です。

通っている乗馬クラブにサラブレッドが5頭いたら、1日で100キロはボロが排出されているのです。

数字にするとすごい量だということが分かります。

ボロの処理方法は?

大量に排出されたボロは、どのように処理されているのでしょうか。

乗馬クラブや牧場では、たい肥を作っていることも多いでしょう。
馬のボロはたい肥として、昔から重宝されています。

乗馬クラブでは、たい肥として販売したり、近所の農家さんにわけたりしているようです。

競走馬の牧場では、質のいい牧草が生えてくるように放牧地の土壌作りに利用することもあります。

ボロは土壌改善に効果的

馬のボロは栄養素のほかにも繊維が豊富に含まれているため、水はけをよくするなどの土壌改良効果も高く、トマト、ナスなどの野菜からバラまで様々な農産物に効果を発揮します。

しかし、たい肥を作るには、発酵や熟成に時間がかかります。
おがくずの方が稲ワラや麦ワラよりも発酵は早いようですが、それでも数か月はかかるそうです。

そのため、最近では機械を使って、たい肥を効率よく作っているところもあります。

ボロとマッシュルームの関係

マッシュルームのイメージ

日本中央競馬会(JRA)のトレーニングセンターから出た使用後の敷料は、工場でたい肥になります。

JRA美浦トレーニングセンターのある茨城県美浦村では、馬糞たい肥を使ったマッシュルームの栽培がさかんです。
岩手県にあるジオファーム八幡平でも、引退競走馬たちの馬糞たい肥を使ってマッシュルームが栽培されています。

引退馬の活躍の場としても、SDGsのビジネスモデルとしても、今後さらに注目を集めるでしょう。

ボロとマッシュルームには古代から密接な関係があります。

古代ギリシアや古代ローマでは、馬糞たい肥に自生していたマッシュルームを食していたそうです。

17世紀にはフランスのメロン栽培で使用していた馬糞たい肥にマッシュルームが生えたことから、マッシュルーム栽培法が確立された歴史があります。

【ウマ小噺】ボロが社会問題になったこともある!?

昔、馬が輸送手段や交通手段として利用されていた時代には、ボロが社会問題になりました。

サラブレッドで1頭あたり1日約20キロの排泄量ですから、当時、輸送手段等に使われた大型の馬たちはさらに多くのボロを排出したことが想像できます。

特に札幌などの北国では冬の間に雪に放置されたボロが雪解けとともに乾燥して、春の強い風により、まき散らされました。

この風物詩を「馬糞風」と呼んでいたそうです。

馬糞風は臭いも強く、衛生的ではないため、札幌市ではボロの路上放置を禁止する条例が昭和25年(1950年)に制定されました。

その後、馬糞風は自動車の普及とともに消えていきました。

しかし、馬糞風という言葉は今も春の強い風を表す季語として残っています。

大馬糞危機勃発

馬車のイメージ

ボロは19世紀末ごろのロンドンやニューヨークでも、社会問題になっていました。

イギリスでは1894年にThe Time紙が
「50年後にはロンドンの道はいずれも、9フィート(約2.7メートル)ほど堆積する馬糞に埋まってしまうだろう」
と報道したことから、この問題が深刻にとらえられるようになります。

のちに、この問題は「1894年の大馬糞危機(The Great Horse Manure Crisis of 1984)」と名付けられました。

現在では、深刻な問題でも人間の創造力をもってすれば克服できるという例として引き合いに出されることがあります。

ボロの仕方は馬によって個性がある

ボロの仕方にも馬それぞれの個性があります。

毎日、同じ場所でボロをする馬もいれば、どこにでもボロをして踏みつける馬もいます。

馬房掃除をすると各馬のクセや排泄の位置も分かってきます。
特に排泄の位置が普段とかなり違う場合には、その馬の体調を注視することもあります。

ボロから分かる、馬の体調や健康状態

牧草を食べる二頭の馬イメージ

馬房のお掃除をする前にはボロのチェックが欠かせません。

ボロの量や状態で、馬の健康状態がある程度把握できるためです。

一般的には、若干のツヤを帯びて、落ちたときに3〜4つに割れる程度の硬さが健康なボロとされています。
まずは、いつもの状態と変わりがないかを確認しましょう。

・量

給餌量や運動量がいつもと同じであれば、排泄量もほぼ同じはずです。
ボロの量は、餌の消化効率によって変化します。
全く出ていない場合は、便秘や疝痛でないか、すぐに確認をしてください。

・色

飼料とたん汁の量によって変化します。
一般的に飼料にタンパク質が多いとボロは濃い色になります。

・餌の消化

餌があまり消化されていない場合、歯に異常がある場合もあります。

・臭い

腐敗臭がする場合はタンパク質の過剰摂取もしくは吸収不良。
酸味臭がする場合は炭水化物の過剰摂取の可能性があります。

・硬さ

餌の配合変更後や抗生物質投与後は緩くなることがあります。
また、食物繊維の摂取が不足している場合も緩くなりがちです。
下痢の場合は脱水症状に注意しましょう。硬い場合は水分摂取が不足しているかもしれません。

・そのほか

寄生虫や出血などがないか。
気になる点があれば、獣医師に相談しましょう。

馬房のお掃除の手順をご紹介

馬の顔のイメージ

馬房の主な敷料にはワラやおがくずがあります。
敷料の種類により、手順や使う道具が少しずつ違います。

乗馬クラブや牧場によっても少しずつ違いますが、一般的な馬房掃除の手順をご紹介します。

敷料がワラの場合

1. ボロミとボロカギを使ってボロを取る
このときにボロの状態も確認しましょう。

2. フォークを使って、きれいなワラを馬房の端に集める
変色しておらず、乾いているワラを端によけます。

3. 乾かせば使えそうなワラを馬房の外に出す。

4. 尿が混じって汚れたワラを捨てる。

5. 床をレーキやホウキで掃く。

6. 3が乾いたら、いつもボロや尿をするあたりの下の方に敷く。

7. 上に端によけたきれいなワラをかぶせる。

8. 新しい敷料を足す。

無駄遣いをなくすために、排泄位置にはきれいなワラではなく、一度乾燥させたワラを敷くのがポイントです。

敷料がおがくずの場合

1. フォークでボロを取る
ボロの状態を確認します。

2. きれいなおがくずを端に寄せる
色が変わっておらず、乾いているおがくずを端にのけます。

3. 尿の混じった汚れたおがくずを捨てる
固まっていたり、色が変わっていたりするので、すぐに分かります。

4. 端に寄せたおがくずをならす。

5. 新しいおがくずを足す。

汚れたおがくずが蹄に詰まると、病気になることがあります。
汚れたものは確実に取りましょう。
こまめな裏掘りも忘れずに。

まとめ

いかがでしたか。

ここまで、様々な視点から馬のボロについて、ご紹介してきました。

重くて掃除が大変なボロですが、馬の健康状態を表すバロメーターとなるだけではなく、私達の生活にも恵みを与えてくれるのです。

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